2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of photonic crystal nanocavity arrays for epigenomic analysis
Project/Area Number |
22H03941
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
遠藤 達郎 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40432017)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フォトニック結晶 / バイオセンサ / エピゲノム / DNA / ナノインプリントリソグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、バイサルファイト法等煩雑な操作の必要なく①可視領域の光でDNA鎖中シトシン塩基のメチル化に起因するわずかな分子量・構造変化を屈折率変化として高感度に直接検出可能な光学素子「フォトニック結晶(Photonic crystal: PhC)ナノ共振器」をアレイ状に配置したデバイスを設計・開発し、②DNA鎖のメチル化率を非染色かつゲノムワイドで網羅的に解析可能にし、③アルツハイマー病・癌等各種疾病とDNAメチル化の相関を明らかにすることにある。 当該年度では、①ナノインプリントリソグラフィーを用いたフォトニック結晶ナノ共振器作製に使用する高屈折率層堆積条件の検討、②屈折率応答評価、③DNAハイブリダイゼーション検出・メチル化シトシン検出、の三項目を実施した。 ナノインプリントリソグラフィーを用いたフォトニック結晶ナノ共振器作製に使用する高屈折率層堆積条件の検討では、屈折率の異なる材料をフォトニック結晶上へ堆積し、特性評価を行うことで、高感度にエピゲノム解析が行うこととが可能な材料の選定を行った。 屈折率応答評価では、フォトニック結晶上で異なる屈折率を有する試料溶液を滴下、光学特性変化を観察した。その結果、①で使用した材料の中で、高感度に光学特性変化を示す材料を明らかにすることができた。 エピゲノム解析では、これまでDNAハイブリダイゼーションによるフォトニック結晶周囲の屈折率変化からメチル化シトシンの有無判定を行っていたが、抗原抗体反応を利用することで、よりメチル化の有無を明確にすることができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、当初計画していたフォトニック結晶ナノ共振器作製に使用する材料としてシリコンを用いて高屈折率層を堆積させることを計画していた。しかし、より詳細な知見を得るために本研究では、可視領域において高い屈折率を有する①ゲルマニウム、②二酸化チタン、も並行して使用してフォトニック結晶を作製し、特性評価を行った結果、シリコンあるいは二酸化チタンがエピゲノム解析に優れることを明らかにすることができた。 加えて、エピゲノム解析において、メチル化シトシン抗体を使用することで、メチル化・非メチル化の判定を高感度に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、これまでの実績を基に①アレイ化による複数項目のエピゲノム解析、②酵素反応を用いたエピゲノム解析の高感度化および特異性の向上、を実施することにある。 ①の「アレイ化による複数項目のエピゲノム解析」は、同一基板上にフォトニック結晶を複数配置することと、ディスペンサーを用いた同一フォトニック結晶上へ異なる配列を有するプローブDNAを複数滴下・固定化する手法を検討することを計画している。 ②の「酵素反応を用いたエピゲノム解析の高感度化および特異性の向上」は、抗原抗体反応を用いたメチル化シトシンの特異的検出だけでなく、酵素反応を用いてメチル化シトシンの検出を行うことで、これまでの実績よりもさらに高感度・特異的にエピゲノム解析が実現可能な条件を検討することを計画している。
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