2022 Fiscal Year Annual Research Report
Semi-vivo gel device for understanding the mechanism of neural network regeneration
Project/Area Number |
22H03951
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中路 正 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (10543217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 規泰 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (00464032)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 疑似脳組織 / アストロサイト / 神経 / semi-vivoゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,semi-vivoゲル構築に向けた,脳組織からの基礎知見の集積,およびアストロサイト埋入semi-vivoゲルの構築およびその最適化を実施した。特に,埋入細胞の生存率評価,埋入神経前駆細胞の分化と神経突起伸長,アストロサイト埋入量と栄養・酸素供給との関係性を評価した。 アストロサイト埋入ゲルへ埋入した神経前駆細胞の生存は,少なくとも2週間は90%以上生存していることが明らかになった。しかしながら,使用するゲル厚が500μmを超えると,細胞の生存率が徐々に低下することも明らかになった。これは,アストロサイト埋入量にも依存することではあるが,ゲル厚が大きいことで,内部への栄養供給および酸素供給が悪くなるためと考えられた。また,アストロサイトの埋入量に依存して埋入神経前駆細胞の生存率低下が予想されたが,1.0×10^8 cell/cm^3まで増加させても,ゲル厚が500μm以下であれば,神経前駆細胞の生存率低下は認められなかった。来年度は,アストロサイト埋入可能な限界量を調査しなければならないと考えている。 現時点で最適と考えられた条件,1.0×10^8 cell/cm^3 のアストロサイト埋入密度,0.4%コラーゲン/0.1%ヒアルロン酸ゲルについて,力学強度を評価した結果,脳組織(中脳部分)とほぼ同等の力学強度を持っていることが分かった。これを用いて,神経前駆細胞の埋入を行った結果,3週間程度培養を継続すると,ドーパミン神経への分化および,放射状に突起伸長・ゲル内での遊走が顕著に認められた。コントロールであるアストロサイト非埋入ゲルでは全く認められなかった挙動である。 本年度得られた成果は,semi-vivoゲル創出に向けて,極めて重要な結果である。次年度は,ここまでに得られた結果を踏まえ,疑似脳組織semi-vivoゲルのプロトタイプを完成させたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で示した通り,2022-2023年度で疑似脳組織体のプロトタイプの構築を目指しているが,本年度で,大体の最適条件の抽出が完了しつつある状況であり,2023年度にプロトタイプ構築が完了できそうな状況にあるため。 特に,神経突起伸長を促進でき,かつゲル内での細胞生存が可能である条件を見いだせたことは非常に大きいと考えている。酸素供給条件の探索を2023年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究計画に掲げた、2022-23年度で「神経細胞にとっての生化学的な刺激および力学的な刺激の模倣を両立したsemi-vivoゲルの構築,特に神経生存・遊走・神経ジャンクション形成にとって最適な設計条件を見出す」という点を達成するべく研究を進める。進捗状況に示した通り,現在のところおおむね順調に研究が進んでいることから,23年度は,“ゲル内での神経軸索伸長とジャンクション形成の過程を追跡できる”点を達成することが目標になる。当初研究計画で掲げた手法でsemi-vivoゲルの構築を目指して研究を推し進めたいと考えている。また,23年度末までにsemi-vivoゲルの構築に関する第一報目の学術論文を投稿できるようにデータを蓄積させたいと考えている。
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