2023 Fiscal Year Annual Research Report
Innovative antibacterial drug delivery system to intracellular bacteria
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22H03956
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
新留 琢郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (20264210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 智裕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30284756)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞内寄生菌 / 銀ナノ粒子 / マクロファージ / ポリ乳酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
銀ナノ粒子を内包したポリ乳酸ナノ粒子について、その基本的な性質について評価した。そのサイズはおよそ250nm、表面電荷はマイナスであり、マクロファージに選択的に取り込まれるであろう性質であった。また、粒子全体における銀の量はおよそ5%であった。ポリ乳酸ナノ粒子に内包することで、浮遊サルモネラ菌に対する抗菌活性は低下した。これは銀ナノ粒子からの銀イオンの放出がポリ乳酸により抑制されたためである。一方、マウスマクロファージ由来RAW細胞に対する細胞毒性を評価した結果、銀ナノ粒子を内包したポリ乳酸ナノ粒子はPEG修飾銀ナノ粒子(ポリ乳酸に内包されていない銀ナノ粒子)に比べ高い毒性を示し、それは、ポリ乳酸ナノ粒子がRAW細胞に取り込まれやすく、細胞内で多くの銀イオンを放出したからと考えられた。実際にサルモネラ菌が寄生しているRAW細胞に銀ナノ粒子内包ポリ乳酸ナノ粒子を添加した結果、寄生菌を効率よく傷害することがわかった。さらに、蛍光顕微鏡で、細胞内のサルモネラ菌とナノ粒子の局在を観察した結果、一部が共局在しており、そこで、サルモネラ菌が傷害されると考えられる。 一方、ポリ乳酸以外の修飾方法についても評価した。細胞表面の糖鎖を認識するタンパク質で銀ナノ粒子を修飾した結果、細胞内への取り込み量が増加し、また、明確な細胞内寄生菌の減少が観察された。さらに電子顕微鏡でサルモネラ菌と銀ナノ粒子の共局在を調べた結果、細胞内で菌体膜に銀ナノ粒子が結合している様子が観察できた。また、細菌から放出される膜小胞(細胞壁の成分を含んでおり、宿主細胞表面で認識されることを期待)による修飾においても、明確な細胞内取り込みと細胞内寄生菌の傷害活性の向上が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀ナノ粒子にポリ乳酸をはじめ、糖認識タンパク質や膜小胞で修飾し、細胞内寄生菌にたいする傷害活性を向上させることに成功した。電子顕微鏡による詳細な細胞内局在を評価することにも成功し、当初の計画通りに研究は進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
細菌が放出する膜小胞は細菌の外膜成分を有し、マクロファージや樹状細胞といった免疫細胞に認識され、刺激する。最終年度は、この膜小胞で修飾した銀ナノ粒子を作製し、その効果を評価したい。例えば、サルモネラ菌以外にも大腸菌、緑膿菌といったグラム陰性菌の膜小胞に加え、黄色ブドウ球菌や乳酸菌といったグラム陽性菌、さらに、ミコールを細胞壁にもつ抗酸菌の膜小胞で銀ナノ粒子を修飾し、マクロファージの応答および取り込みを評価し、免疫刺激も組み合わせた細胞内寄生菌傷害システムを構築したい。対象とする寄生菌についても、サルモネラ菌以外にも本件の初年度から準備を開始したMycobacterium aviumの感染モデルを構築し、様々な表面修飾を施した銀ナノ粒子の寄生菌傷害活性を評価する。この結果は、臨床でも課題になっている肺マック症の新たな治療技術を提案するだけでなく、未だにアジアアフリカで多くの感染者を出し、その治療が難しい結核の対策にもつながるものと期待する。
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Research Products
(12 results)