2023 Fiscal Year Annual Research Report
スマートマテリアルに駆動力と機能を付与するレーザープロセシング技術の確立
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22H03958
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺川 光洋 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60580090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾上 弘晃 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30548681)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | レーザープロセシング / スマートマテリアル / ハイドロゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、前年度に得られた研究成果を基に、特性付与の高度化ならびに応用研究を実施した。ハイドロゲル内部に金属ナノ粒子から構成される微細構造を細密に描画することを目的として、ガルバノスキャナーを利用した実験系を構築した。この照射方式を採用することで、光照射による熱効果を軽減することが可能となり、温度応答性ハイドロゲル内部において作製構造の細線化を達成した。さらに、作製した構造を応用してハイドロゲルの収縮と膨潤を制御し、透過率を変化させることでソフトマテリアルから成るオプティカルスイッチを実現できることを示した。以上の成果を原著論文として公刊した。さらに、研究目的であるスマートマテリアルを自在に操るための駆動力、力学的強度、光学的特性を任意に付与することを実現する新たな方法として、ハイドロゲルの炭化と黒鉛化による機能付与の技術を導入した。前年度の研究において、研究代表者らのグループは有機材料の前駆体をハイドロゲル内に含有させ、フェムト秒レーザー照射を行うことで、その表面に黒色構造を作製できることを見出していた。この成果は黒色構造の紫外、可視、赤外域における高い光吸収特性は光刺激による駆動の高速化等に利用できると考えられ、当該年度においては、同技術に基づきハイドロゲル表面にアンテナの作製を試みた。実験では、モールド内のアルギン酸ナトリウム水溶液に塩化カルシウム水溶液を滴下し、イオン架橋によりアルギン酸ハイドロゲルを作製した。予めアルギン酸水溶液および塩化カルシウム水溶液にタンニン酸を溶解し、その表面にレーザー照射を行うことで面構造を作製した。以上により長さおよび幅がそれぞれ10 mmの平面状の導電性構造を作製し、平面アンテナとした。平面アンテナは共振周波数が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り熱効果を考慮した作製方法を確立するとともに、新規成果を利用したハイドロゲルと黒鉛化炭素構造の作製に関する研究を遂行した。当該年度の研究成果を原著論文として公刊した。また、前年度の成果のうち未発表であったものも原著論文としてまとめ、今年度に採択されて公刊された。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って実施するとともに、新たに見出している黒鉛化炭素構造の作製技術も活用して研究を遂行する。
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