2023 Fiscal Year Annual Research Report
Design of apoptotic cell mimetic anti-inflammatory polymers for the treatment of cytokine storm
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22H03963
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
荏原 充宏 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 副センター長 (10452393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 道弘 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (40331988)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 抗炎症 / アポトーシス / MPS / 生体模倣 / スマートポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によってサイトカインストームという言葉が様々なメディア等で取り沙汰されるようになったが、サイトカインストームはCOVID-19のみならずリウマチ性疾患や多発性硬化症など様々な自己免疫疾患にも関連するため、つまり、サイトカインストームをいち早く抑制しARDSの症状を抑えることができればCOVID-19 の重症化リスクを大幅に改善することが期待できる。こうした背景のもと、殺傷された死細胞(アポトーシス細胞)の断片が免疫調節機能(抗炎症作用)を有する点に注目し、サイトカインストームの抑制に利用できないかと考えた。本研究では、合目的に設計されたアポトーシス模倣膜高分子を用いて免疫細胞との相互作用を詳細に検討することで、サイトカインストームの発症機構への死細胞の役割を学術的に理解することでARDSの新たな治療法の創製を目的とする。本年度は、アポトーシス模倣高分子(2-Methacryloyloxyethyl phosphorylserineポリマー ; 以下、MPSポリマー)の設計を行う。その際、ポリマーの分子量、形態(粒子、ミセル、疎水度など)の最適化を行った。特にMPSポリマーの構造(グリセロール基)の違いによって、マクロファージの認識が変わることを明らかにした。さらに、MPSポリマーを粒子化することで、より効率的にマクロファージに取り込まれることが明らかとなった。これらのMPSシリーズを用いて、肺胞マクロファージの炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-αなど)の産生抑制効果および抗炎症性サイトカイン(IL-10、TGF-βなど)の産生促進効果が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、炎症部位の低pH環境のみでPS基が露出する分子設計し、そのpH応答性を確認することができた。また、抗体とMPSポリマーとの複合体Antibody-Polymer Conjugates (APCs)の作製を行い、抗炎症効果を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MPSポリマーと他の天然高分子(例えばヒアルロン酸やキトサンなど)との複合化を行い、MPSの抗炎症効果を最大限に発揮する分子設計を目指す。その結果をもとに、サイトカインストーム抑制効果について検討する。同時に、昨年度系を立ち上げた近接場発光法を用いたMPSレセプターの網羅的解析をさらに掘り進め、MPS構造とレセプターへの親和性について定量的な解析を行う。特にMPSを導入する材料側の特性がMPS認識に与える影響について調べる。また、本研究計画を通しての最終目標がMPSポリマーの抗炎症治療への応用であるため、効率的な投与方法や最適な血中滞留時間などについて検討する。
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