2022 Fiscal Year Annual Research Report
非劣性的検討による地域フォーミュラリ導入の患者アウトカム評価
Project/Area Number |
22H03987
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
今井 博久 帝京大学, 医学部, 教授 (20316631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 裕之 宮崎県立看護大学, 看護学部, 教授 (40336293)
小池 博文 横浜市立大学, 附属病院, 副薬剤部長 (60886365)
奥田 真弘 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (70252426)
池田 俊也 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (90193200)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域フォーミュラリ / 標準的薬物治療 / 医薬品 / 費用対効果 / テクノロジーアセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施の初年度である本年度には、地域フォーミュラリ導入の前後で「本当に患者アウトカムが測定できるのか」について検討するために国内のいくつかの実施地域に出向き、最終的なフィージビリティの確認作業を行った。当初の研究計画では、高血圧治療系薬、脂質異常症治療薬、胃粘膜保護系薬などの使用による薬物治療を対象に地域フォーミュラリの導入前後の患者アウトカムに関して非劣性試験を予定していたが、実施地域におけるデータ収集のフィージビリティを検討し、かつ研究分担者らとの議論によって測定対象を「高血圧系薬(ARB)による降圧効果の患者アウトカム」に絞り込んでデータ収集することが研究目的の遂行として妥当性が高いだろう、という結論に至った。地域フォーミュラリを実施している該当の地域へ数回にわたって出向きデータ収集の細部を詰めた。そうした研究の基礎調査と並行して国内外の地域フォーミュラリ導入後の患者アウトカムに関する文献の検討などを行った。地域フォーミュラリに関する論文は1980年以前には非常に少なく、2000年以降に急速に増加していた。国内における地域フォーミュラリに関する論文はなかった。海外における地域フォーミュラリの論文を検討すると、その実施されている国々におけるフォーミュラリの定義および意味している内容がそれぞれ異なっていた。わが国で実施されている地域フォーミュラリに近い定義や内容は、英国のそれと近かった。患者アウトカムの比較に関する論文はなかった。米国におけるフォーミュラリは民間保険会社と契約している医療施設における使用可能な医薬品リストであり、処方制限が生じて入院数が増加した、医療経済的にもメリットは多くないとされていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、高血圧治療系薬、脂質異常症治療薬、胃粘膜保護系薬などの使用による薬物治療を対象に地域フォーミュラリの導入前後の患者アウトカムに関して非劣性試験を予定していた。しかしながら、国内において地域フォーミュラリを実施している地域は限られ、また歴史的にも長い期間実施されているわけではない。従って、統計解析に耐えられる十分な症例数を確保するために実施地域の関係者(医師会医師、薬剤師会薬剤師、病院責任者、治験部門責任者など)との打ち合わせなどを繰り返し行ったため、それだけでかなり時間を要した。そうした過程を経て実施地域におけるデータ収集のフィージビリティを検討し、かつ研究分担者らとの議論によって測定対象を「高血圧系薬(ARB)による降圧効果の患者アウトカム」に絞り込んでデータ収集することが研究目的の遂行として妥当性が高いだろう、という結論に至った。その後、実施地域の関係者とデータ収集方法について手順を詰めて行く過程でもかなりの時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度においては、当初計画していた研究内容のフィージビリティを検討し、患者アウトカムの対象として高血圧治療系薬、脂質異常症治療薬、胃粘膜保護系薬などの使用による複数の薬物治療から高血圧治療系薬(ARB)のみに絞り込み、フィージビリティを高める計画に変更した。高血圧は患者数も多く、また血圧値というデータは入手し易い。さらに、地域フォーミュラリの導入前後の患者アウトカムに関して非劣性試験を行う場合、対象患者数が100名以上でなければ予定した統計解析が実施できないため、地域フォーミュラリを実施している地域を増やす方向にした。日本フォーミュラリ学会の普及活動により本邦における地域フォーミュラリの導入地域が順調に増加しているため、今後は症例データ数の増加が期待できる。三か所~四か所の地域からのデータ収集を行えば、対象患者数が100名以上を収集でき精度の高い統計解析を行えられるため、次年度以降は地域フォーミュラリが実施されている地域に出向き、関係者とデータ収集の交渉を試みたい。
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