2022 Fiscal Year Annual Research Report
Beyond safety: Toward comfortable use of mobility scooters through individual fitting based on the physical and cognitive models of drivers
Project/Area Number |
22H03999
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
硯川 潤 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究室長 (50571577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 和徳 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (10357775)
近藤 知子 杏林大学, 保健学部, 教授 (90274084)
劉 毅 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 流動研究員 (00912859)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経筋骨格モデル / 操作ログ / オプティカルフロー / 慣性センサ / ハンドル型電動車椅子 / 画像認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,シニアカー適合支援技術に向けた基盤的モデルとして,姿勢・操作性を評価するための神経筋骨格モデルと操作ログと画像認識による認知的インタラクションモデル構築のための基礎的検討を実施した. 姿勢・操作性を評価するための神経筋骨格モデルとして,筋特性・関節受動抵抗を考慮した筋骨格モデルを構築した.さらに,同モデルの両目の中心位置に単眼の眼球モデルを設置し,目標点に対する視線ベクトルの水平方向・鉛直方向の成分を最小化するよう,遺伝的アルゴリズムにより最適化計算を行った.シミュレーション結果として,ハンドルの回旋にかける動作と目標点を視認するための動作に必要な関節トルクが増加していることが確認され,妥当性を検証できた. 認知的インタラクションモデル構築のための基礎的検討として,単眼カメラによるオプティカルフローデータからのハンドル・アクセルレバー角度推定手法の開発と,画像認識による操作者の頭部方位推定手法の開発をそれぞれ実施した.単眼カメラによるオプティカルフローデータからのハンドル・アクセルレバー角度推定手法として,シニアカーの車体構造に着目した速度ベクトルからの操作角度変換式を新たに提案した.被験者実験による推定精度検証では操作把握に十分な精度を確認でき,実生活環境での設置・運用が極めて容易な操作ログ収集システムを構築できた.画像認識による操作者の頭部方位推定手法としては,既存の顔認識手法等を組み合わせ,シニアカーに搭載できリアルタイムに頭部方位を算出できるシステムを開発した.複数の走行コースで操作ログと頭部方位の同時計測を行ったところ,ハンドル旋回動作に先行して周辺確認のための頭部旋回動作が確認され,操作者の安全確認に関連した挙動を定量化できることを確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,シニアカー適合支援技術に向けた基盤的モデルとして,姿勢・操作性を評価するための神経筋骨格モデルと操作ログと画像認識による認知的インタラクションモデル構築のための基礎的検討を目的としていた. 姿勢・操作性を評価するための神経筋骨格モデルとしては,筋特性・関節受動抵抗を考慮した筋骨格モデルに加え同モデルの両目の中心位置に単眼ではあるが眼球モデルを実装できた.遺伝的アルゴリズムによる最適化計算でシミュレーションを行ったところ,妥当性を確認でき,シニアカー操作における認知的インタラクションモデルの基盤として次年度以降に活用できると考える. 認知的インタラクションモデル構築のための基礎的検討としては,単眼カメラによるオプティカルフローデータからのハンドル・アクセルレバー角度推定手法の開発と,画像認識による操作者の頭部方位推定手法の開発を完了できた.単眼カメラによるオプティカルフローデータからのハンドル・アクセルレバー角度推定は,従来の慣性センサを用いた操作ログ収集に比較して車体への設置が極めて容易になる.シニアカー適合場面では,エンジニア職の関与が期待できないため,実装の簡易化は今後の提案手法の普及に資する技術であると考える.また,画像認識による操作者の頭部方位推定を操作ログと同時に実施することで,操作時の身体挙動の把握から走行の安全性に関連した定量的な指標を構築できる可能性が示唆された. 以上により,本年度は当初計画通りに研究計画を実施できたと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,昨年度に構築したシニアカー適合支援技術に向けた基盤的モデルにもとづき,操作者による環境変化の認識と操作反応の時間的・量的関係性を明らかにすることを目的とする.また,モデルベースの適合調整に必要となる計測手法を構築し,その精度検証などを完了する. ・姿勢・操作性を評価するための神経筋骨格モデル:シニアカー操作時の肩および肘関節,体幹の運動制御を生成するために,上半身の神経モデルを構築する.また,認知モデルとの連携のために,頭部運動の生成も可能なモデルを実装する.モデルの基盤には,長谷が開発した自動車運転操作系のデジタルヒューマンモデルを用い,短時間の順運動力学計算を探索的に繰り返すことで,複雑な操作・周辺視認のための動作を効率的に生成することを目指す. ・操作ログと画像認識による認知的インタラクションモデル:シニアカー利用時の周辺環境を模擬的に再現した試験コースを構築し,実験協力者の走行課題遂行中の操作状態を記録する.実験には,申請者らがこれまでに製作したアクセル・ハンドル操作と頭部方向を同時計測できる計測システムを用いる.これにより,操作入力と環境認知行動の時間的な関係性を明らかにできる.実験データの相互相関分析などから,環境変化の認識とそれに対応した操作入力の時間遅れを定量化し,操作者-車体・環境のインタラクションモデルを構築する.進路変更や速度調整操作に着目し,インターフェース構造の差異による操作の安定性を定量化することを目指す. ・簡易な計測システムによる適合評価・調整手法:昨年度開発したvisual odometryによるハンドル・アクセル操作推定手法と,頭部方位推定手法を,単一の撮影デバイスで実装することを検討する.360度の撮影画角を有するビデオカメラをシニアカー車体に設置し,走行路面のオプティカルフローと顔認識を同時に実現することを目指す.
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