2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the Shomonos as materials for the cultural history
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23H00600
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
蔦 清行 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (20452477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木田 章義 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (30131486)
大谷 雅夫 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (80152172)
宇佐美 文理 京都大学, 文学研究科, 教授 (70232808)
近藤 浩之 北海道大学, 文学研究院, 教授 (60322773)
大槻 信 京都大学, 文学研究科, 教授 (60291994)
金沢 英之 北海道大学, 文学研究院, 教授 (00302828)
緑川 英樹 京都大学, 文学研究科, 教授 (30382245)
金光 桂子 京都大学, 文学研究科, 教授 (30326243)
山中 延之 京都女子大学, 文学部, 准教授 (00782591)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 抄物 / 中世後期 / 国語学・日本語学・文献学 / 五山文学・漢詩文 / 注釈・学問 / 『黄氏口義』提要 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題全体の研究の目的は、抄物の文化史的資料としての価値を明らかにすること、と定めている。そのために、抄物の内容の検討、および周辺の資料との比較が必要であり、具体的には①幅広い分野の研究者が集う研究会を継続的に開催する、②複数の抄物を扱う研究者があつまり、それぞれの扱っている抄物資料についての知見を公開してもらうシンポジウムを企画する、③文庫や寺院の文献調査を行って、新たな価値ある資料を発掘・紹介する、という三つの活動を計画した。以下この三点について、実績を報告する。 ①については、黄庭堅の詩の抄物『黄氏口義』(建仁寺両足院蔵、二一巻・二二冊、林宗二筆、1560-1567年写)を精読する研究会を、前年度までに引き続き開催した。各回の参加者は20名程度で、本年度は11回開催し、通算の開催回数は112回となった。 ②について、本年は研究代表者・分担者の多くが、①の研究成果をまとめた書籍『抄物を読む:『黄氏口義』提要と注釈』の執筆・編集に取り組んでいたため、開催できなかった。 ③については、まず山中は高山寺(京都市右京区・2023年9月22-25日)において、抄物資料『無門関鈔』・仁和寺(京都市右京区・2023年4月-2024年2月まで計9日間)において『山谷詩抄』『蒙求知抄』等抄物資料の原本調査を行った。蔦は高山寺(京都市右京区・2023年9月22日-25日)において、室町時代後期の漢字カタカナ交じり資料の原本調査を行った。金沢は神宮文庫(伊勢市)、刈谷市中央図書館、阪本龍門文庫(吉野郡吉野町上市)、天理図書館(天理市)、石川武美記念図書館成簣堂文庫(東京都千代田区・以上いずれも2024年3月、各地1-2日間)で日本書紀の古活字版、古写本等の原本調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題全体の研究の目的は、抄物の文化史的資料としての価値を明らかにすること、と定めている。そのために、抄物の内容の検討、および周辺の資料との比較が必要であり、具体的には①幅広い分野の研究者が集う研究会を継続的に開催する、②複数の抄物を扱う研究者があつまり、それぞれの扱っている抄物資料についての知見を公開してもらうシンポジウムを企画する、③文庫や寺院の文献調査を行って、新たな価値ある資料を発掘・紹介する、という三つの活動を計画した。 研究会については、参加者を少しずつ増やしながら、順調に開催を続けている。また、その成果を、書籍『抄物を読む:『黄氏口義』提要と注釈』(臨川書店、2024年3月)として公表することができたのはきわめて大きな成果であって、新たな研究者の育成や普及に大きな貢献をなすことができたのではないかと考えている。 また文献調査に関しても、寺院・文庫等において、調査や資料収集を進めており、撮影作業も行うことができた。一部は翻刻や資料紹介として公開するに至っていることも大きな成果であるといえる。 一方で、今年度からの新たな企画であるシンポジウムについては、複数の抄物を扱う研究者が集まり、それぞれの扱っている抄物資料についての知見を共有することを考えていたが研究代表者・分担者の多くが上記書籍の執筆・編集に従事していたため、実現に至っていない。 以上を総合的に勘案して、本年度の本研究課題は「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題全体の研究の目的は前年度までと変わらないことから、本年度も引き続き、①幅広い分野の研究者が集う研究会を継続的に開催する、②複数の抄物を扱う研究者があつまり、それぞれの扱っている抄物資料についての知見を公開してもらうシンポジウムを企画する、③文庫や寺院の文献調査を行って、新たな価値ある資料を発掘・紹介する、という三つの活動を遂行していく。 ①の研究会については、継続して行っているものであり、今年度に関しても引き続き、参加者の増加・内容の充実に努める。 ②のシンポジウムに関しては、前年度は開始できなかったものであるから、早急に準備を進め、遅れを取り戻せるように、適切な人選から始める。 ③の文献調査についても、継続的な計画であり、京都市高山寺や仁和寺、京都大学附属図書館など幅広く行っていきたい。
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