2023 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア古代宗教世界における「コトバとモノの関係史」への地域横断的アプローチ
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23H00659
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
佐藤 桂 武蔵野大学, 工学部, 准教授 (80454198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 史明 上智大学, 総合グローバル学部, 研究員 (00584707)
原田 あゆみ 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 課長 (20416556)
久保 真紀子 立正大学, 仏教学部, 専任講師 (40793386)
田畑 幸嗣 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60513546)
宮崎 晶子 茨城キリスト教大学, 文学部, 教授 (80613504)
青山 亨 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (90274810)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 東南アジア / 古代 / インド系宗教 / 物質文化 / 文字史料 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は計画通り4回の研究会合(2023年5月13日・於早稲田大学、7月2日・於武蔵野大学、10月15日・於早稲田大学、2024年2月11日・於東京国立博物館)を開催するとともに、夏季に海外合同調査を実施し、タイ(バンコク及びスコータイの諸都市)及びカンボジア(シェムリアップ州及びコンポントム州)の仏教・ヒンドゥー教建築、窯跡等の考古遺跡、主要美術館の所蔵品等に関する調査を行い、併せて、現地専門家との意見交換を行った。 本年度の主な成果として、以下の3点が挙げられる。 1) 定例研究会合での研究発表と意見交換を通じて、東南アジア古代宗教世界史の大枠を、スターンズ(Stearns 2017)の「ポスト古典時代」(600-1450年)に照らして描き出す試みを行った。 2) 作成中であった地域・分野横断型年表データベースに検索機能を付加したテストサイト(https://chronological.sakura.ne.jp/)を、8-9世紀を対象として一旦完成させた。ただし、いまだ改善の余地がある。 3) 夏季の海外合同調査で訪れたタイ国内の仏教建築及び仏像や考古遺物を手始めに、寺院建築の各部分や要素の呼称を整理するなど、物質文化とコトバとの接続を試みた。その際、東南アジア古代世界を複数のサブ・リージョンにわけ、地理的下位区分も考慮しながら作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り順調に進展しているが、特に以下の点において、より具体的な掘り下げが要される。 1)仏教建築に用いられる各部分の呼称は、古代インドに端を発するものが多いが、地域ごとに差異があるため、同源の言葉である場合も異なる対象を指すことがある。現状ではこれが未整理で、各地域研究内にとどまっているため、地域間の関係性を明らかにしていく必要がある。 2)重要刻文の整理と翻訳作業は進んでいるが、この中から物質文化に関わる言葉や表現を抽出し、物質文化と関連させていく作業が未着手である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は当初計画通り、さらにモノとコトバの世界に踏み込んで、以下の研究を推進する。 1)起点となるインドにおける建築及び宗教関連用語を整理し、東南アジア古代史に関わるサブ・リージョンごとに、それらの歴史的展開について考察する。 2)刻文に記される建築及び宗教関連用語を抽出し、上記のサブ・リージョンごとに、それらと物質文化との関係を整理する。 2024年度年次目標:構成要素の定性的・定量的評価と関係性の構造化 2025年度年次目標:地域横断的な比較考察と視覚化
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