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2024 Fiscal Year Research-status Report

An Excavation of a Mausoleum in Al-Bass Site of Tyre

Research Project

Project/Area Number 23K25382
Allocation TypeMulti-year Fund
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

前野 弘志  広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (90253038)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 西山 要一  奈良大学, その他部局等, 名誉教授 (00090936)
小川 拓郎  九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (00943614)
堀 賀貴  九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20294655)
妹尾 裕介  滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (20744270)
藤本 悠  芸術文化観光専門職大学, 芸術文化・観光学部, 准教授 (50609534)
辻村 純代  公益財団法人古代学協会, その他部局等, 客員研究員 (60183480)
佐藤 育子  日本女子大学, 文学部, 研究員 (80459940)
Project Period (FY) 2024-04-01 – 2026-03-31
Keywordsレバノン / ティール / アルバスサイト / 発掘調査 / アウソレオン(大型墓) / フェニキア
Outline of Annual Research Achievements

2024年度は,イスラエルによるレバノン侵攻のため,現地調査が出来なかった。詳細は【現在までの進捗状況】において述べる。2023年度の中間報告書(および2022年度に実施した予備調査の中間報告書)を英文で作成し,2024年3月にレバノン考古総局に提出した。報告書の提出は義務であり,レバノンの学術雑誌BAALの2024年号に掲載される予定であったが,これも戦乱のため未出版となっている。
そこで,日本国内で出来ることとして,以下のことに取り組んだ。まず小川は,2024年10月26日開催の広島史学研究会大会シンポジウム「デジタル人文学と歴史学」においてパネラーとして登壇し,ティールで実践している3D測量の仕組みと成果について報告した。次に妹尾は,2024年1月21日から24日まで金沢大学資料館にて,伝ベツレヘム出土ローマンランプの調査を行い,ティール出土ランプの編年を考察するための比較資料とした。さらに前野は,アルバスサイト統括官であるレバノン考古総局のアリ・バダウィ著Tyreの翻訳作業を進めた。これはアルバスサイトとシティサイトの遺跡案内およびフェニキア都市テュロスの歴史の概説書であるが,類書は日本になく,豊富な図版が掲載されているため,日本におけるフェニキア史研究の入門書となるだろう。また堀と佐藤は,他地域における同型大型墓の存在と分布の調査を進めたが,発見には至らず,もしかしたらティール固有の墓地形態である可能性が高くなってきた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

理由は現地で発生した戦争である。2023年10月7日,パレスチナのハマスがイスラエルを奇襲し,約1,200人を殺害,約250人を人質にとった。翌10月8日,レバノンのヒズボラがハマスを支援するため,イスラエル北部を砲撃した。以後,攻撃の応酬が始まった。現地調査は毎年,9月に約1ヶ月間行うが,2024年9月になってイスラエルによるレバノン攻撃が激化し,10月1日に地上侵攻が開始され,10月24日には調査地であるティールが空爆された。2024年11月27日,ヒズボラとイスラエルが停戦に合意し(それまでにレバノンで約4,000人の死者が出た),60日間で双方がレバノン南部から撤退し,代わりにレバノン軍が同地に展開することとなった。撤退期限は2025年1月26日であったが,イスラエルが撤退を2月18日まで延期した。今現在,停戦協定は有効であるが,イスラエル軍が国境の山岳地帯5箇所に駐留し,ベイルート南部の郊外,レバノン南部の都市部,及び国境近くの村で,空爆やドローン攻撃を行っている。
外務省の海外安全ホームページによれば,調査地であるティールは危険レベル4(最も危険)となっている。ちなみにレバノンにおいては危険レベル3が常態であり(レベル2は見たことがない),レベル3になれば調査再開が可能となる。
予備調査を除いて,本研究では,まだ1回しか現地調査を行っていない。2023年の現地調査で持ち帰ったデータについては,まだ継続調査の余地はあるものの,新しいデータを取りに行かない限り,研究計画の遂行は,現状では困難である。

Strategy for Future Research Activity

まず現地の状態が危険レベル3まで下がれば,現地調査を行う。ただし現地調査に参加するか否かは研究分担者個人の意思を尊重する。行えたとしても,小規模なものになるだろう。その場合,まず遺跡と遺物の状態を確認する。次にこれまでに収集した遺物を分類整理し直す。また可能ならば,北側に開口する5つの納体室から人骨と歯および遺体を包んでいた布の断片と思われる布片を採取して日本に持ち帰り,パレオラボに年代測定等の分析を依頼する(一部はすでに収集している)。
もし危険レベル4のままの場合,アルバスサイト統括官であるレバノン考古総局のアリ・バダウィ氏を日本に招いて,レバノンにおける考古学の現状について講演してもらう。同時に,可能ならば,彼に上記の人骨等を日本に持ってきてもらい,上記調査機関に分析を依頼する。いずれにせよ人骨と歯と布片の分析は,当該大型墓の年代や社会的背景を考察する上で貴重なデータとなる。
堀が撮影した南壁の壁画のデータにまだ抜けがあるとのことであるが,それを補修して後に,美術史の研究協力者を募り,美術史的考察を行う。これにより当該大型墓の年代や絵画のシンボリックな意味の解明が期待される。
前野はアリ・バダウィ著Tyreの訳註を完成させ,今年度中に出版する。また,本研究期間は2023年度から2025年度までの3年間であるが,戦争のために現地調査が出来なかったので,2026年1月に1年間の研究期間延長申請を行い,2026年度まで継続するつもりである。

Causes of Carryover

2023年10月8日から始まったレバノンのヒズボラとイスラエルの交戦がエスカレートし,レバノン全土が戦争状態となり,調査地であるレバノン南部の都市ティールでの現地調査が不可能となったため。
今の所,1年間の現地調査が出来なかった分,研究期間を1年間延長して,当初の研究計画を履行する計画である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2025 2024 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] レバノン考古総局(レバノン)

    • Country Name
      LEBANON
    • Counterpart Institution
      レバノン考古総局
  • [Journal Article] 古代ローマ建造物とレーザースキャニング ―ローマのオスティアおよびティールのアルバスサイトを例に―2025

    • Author(s)
      小川拓郎
    • Journal Title

      史学研究

      Volume: 321 Pages: -

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 古代ローマ建造物とレーザースキャニング2024

    • Author(s)
      小川拓郎
    • Organizer
      広島史学研究会
    • Invited

URL: 

Published: 2025-12-26  

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