2024 Fiscal Year Research-status Report
アレクサンドリア後背の湖沼地帯における生活文化の復元研究-砂丘頂部の神殿周域住居
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23K25394
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷川 奏 早稲田大学, 総合研究機構, 客員上級研究員 (80318831)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 真一 日本工業大学, 建築学部, 教授 (10198517)
津村 眞輝子 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 館長 (60238128)
西坂 朗子 東日本国際大学, エジプト考古学研究所, 客員教授 (30454193)
高橋 亮介 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (10708647)
惠多谷 雅弘 東海大学, 情報技術センター, 研究員 (60398758)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2026-03-31
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| Keywords | エジプト / アレクサンドリア / コーム・アル=ディバーゥ遺跡 / 神殿周域住居 / ヘレニズム村落 |
| Outline of Annual Research Achievements |
本科研調査の研究対象遺跡であるコーム・アル=ディバーゥ遺跡では、2023年度から丘陵頂部の神殿周域住居の核部分を占めるナオス周辺を対象に発掘作業を進めてきた。発掘に際しては、50m四方の大グリッドをまず設営し、それをさらに25の10m四方のグリッドに分割した。このうち、2023年の調査区域の東側にあたる7グリッド(D3c4,9,14,19,20,25)を対象とした。表層の堆積層は薄く、深いところでも20~30cm程度であり、これらを除去すると、日乾煉瓦造建造物の基礎部分と建造物の床面が現われた。今期の発掘エリアでは、2023年調査の東端(D3c10,D3c15)でみられていた壁体に対し、これがさらに東側に続く建造物が現れ(D3c9,D3c14)、これは長矩形の部屋をもつものと思われたが、その接続ポイント(D3c15)において、これがやや軸線を変えて南側に伸びるように観察されることから、建て増しのような形で建造されたことが考えられた。建造物はさらに丘陵を東側や南側に下った地点まで伸びているようである。出土遺物では、地中海地域から搬入されたと推測される赤色光沢土器の底部片や貼り付けの列点模様が同部に張り巡らせる小型碗のバルボタイン土器の胴部片もみられ、これらは帝政ローマの時代を象徴する遺物と考えられた。また陶器の中には、花模様が描かれたファイアンス陶器も含まれていた。石製容器にはアラバスター製の壺がみられ、石製容器には花崗岩で作られ平たい面を持つ小皿などがあり、これは供用に使われたとも思われる。建築材には、ナオス周辺から取り上げられたもので、ドアの軸受けと推測される石灰岩の部材がみつかった。道具類には、石製の錘、鉄製やブロンズ製の釘などがみられた。上記のような成果を得て、丘陵頂部の約2/3の面積が終了した。丘陵頂部でどのような活動が行われていたかは引き続き今後の課題である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の3年計画(2023~2025年度)では、コーム・アル=ディバーゥ遺跡の丘陵頂部にある神殿周域住居の発掘を目標に掲げた。2023~2024年度にはナオス周辺の調査が行われ、丘陵頂部エリアの約2/3の調査を終えることができた。これまでに発掘された地点にはナオスの東側の空間が含まれ、ここは当初予想されていたより複雑な建造物構成になっていることが判明した。それぞれの建造物の軸線が微妙に異なるが、これは3期ほどの異なった建造時期が関わると思われ、ナオスの建造に先立つ時代の壁体の可能性も示唆された。ナオスの建造時期はいまだに明らかではないが、ナオスを囲む周壁の近くからは、プトレマイオス2世のコインが発見された。これは建造物の形成の早期に関わると考えられた。。一方、丘陵頂部の建造物の床面近くと表層の砂層からは、帝政初期に位置づけられる土器片・陶器片・ランプ片等がみつかっており、これらは神殿周期住居の活動期に関わると推測される。このように、漠然としたかたちではあるが、遺跡に関わる年代軸が把握され始めているのは大きな成果と考えられる。発掘調査の成果は、国内では日本西アジア考古学会において毎年発表を行い、専門家ばかりでなく一般にも遺跡調査が認知され始めている。国際的な場においては、2022年にロンドンで刊行された発掘成果の続編として、2025年4月にカイロで行われた「国際デルタ調査ワークショップ」において研究発表を行い成果を発信した。さらにリモートセンシングの古環境研究への応用に関しては、その成果が和文の書籍として刊行された(2025年3月刊行)。これらを総合して、研究はおおむね順調に進行していると評価できる。
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| Strategy for Future Research Activity |
当該の課題では、3年間でコーム・アル=ディバーゥ遺跡の丘陵頂部において、中核を占めるナオスの周辺の遺跡構造を確認するための調査が行われ、2023,2024年度の2回の発掘調査で、おおよそ2/3のエリアを終えることができたので、2025年調査では、残りの1/3の区域を調査して、「ナオスの周辺」部分が完掘されることをめざす。そして同時に3年間の調査成果のとりまとめを行い、成果はエジプト考古局(SCA)の紀要に英文で投稿することを考えたい。また2025年度はイギリス隊主催のデルタ研究ワークショップも開かれるので、そこで研究成果を発信したい。
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| Causes of Carryover |
当初現地調査を予定していた研究分担者が、急な用務が生じたために参加が不可となったが、これは次年度に実行される計画である。
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