2023 Fiscal Year Annual Research Report
Availability of nanocellulose for conservation of cultural property
Project/Area Number |
23H00709
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
貴田 啓子 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 准教授 (20634918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 直美 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 助手 (00911538)
岡田 靖 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 准教授 (40401509)
稲葉 政満 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 客員研究員 (50135183)
土屋 裕子 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (60321551)
西田 典由 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, アソシエイトフェロー (80502898)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ナノセルロース / 保存修復 / 修復処置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、数多く開発されているナノセルロース(NC)のなかから、文化財の修復材料として、その機能と目的との合致を検証し、数種に選定、比較評価を進める。それらを修復材料として油画や木材彫刻作品の修復処置に試用し、その特性を各種分析により把握する。得られた結果から、ナノセルロースの有用性の検討、および適切な使用方法の開発を目指し、より良い文化財の保存修復処置に寄与することを目的とする。 初年度は、数多く製品化が進むナノセルロースについてのリサーチを進め、その選定を試みた。種類としては、主に原料繊維物質の違い、またはナノ化のための処理の違いがある。原料の違いについては、多くの場合その工程で原料由来のセルロース以外の成分が排除されていくため、その後の性質に影響が小さい。一方、セルロース物質のナノ化処理の違いについては、物理的処理と化学的処理に大別され、化学的処理により製造されたNCは多くの場合、ナノ化の精度は高く分散性がよいので透明性も高い製品が多い。一方で、セルロースに酸性基が残っていることが予想される。一方、物理的処理されたナノ化セルロースは、サイズ的にはナノ化されてる製品は少なく、ミクロフィブリルセルロースレベルのものが多いが、酸性基が入ることはなく、安定性が高いことが予想された。代表的な、化学的処理、物理的処理のナノセルロースを入手し、修復材料としての安定性を検討するため、塗布膜を作製し、湿熱による加速劣化試験を実施した。 一方で、ナノセルロースの評価に用いる各種装置の購入をすすめるとともに、入手したNCについて、キャンバス地あるいは木材に塗布し、目視による評価を行い、評価方法の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査および実験は、おおむね進めているが、主要な観察のための装置の購入に時間がかかり、1年目の終わりに納品した状況であった。そのため、これを使用した評価を進める部分が遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の終わりに、主要なNC評価のための装置(SEM)を購入することができたので、今後はこれを使用した観察評価を進めていく予定である。今年度にある程度選定したNCについて、分担者である技術者によるキャンバス、あるいは木材への修復処置(塗布あるいは充填など)を行い、それぞれ修復材料としての感覚的評価とともに、SEM観察をはじめとする材料の状態の評価、加えて、加速劣化試験による安定性の評価を進めていく予定である。 一方で、NC単独での処置方法について、現在は簡易的に筆による塗布でサンプル作製を行い観察や試験を行っているが、その使用方法についても、シリンジやスプレーなどにより処置した場合のその効果の違い、なども検討していく予定である。
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