2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23H00783
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
兎内 勇津流 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (50271672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松重 充浩 日本大学, 文理学部, 教授 (00275380)
バールィシェフ エドワルド 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (00581125)
井竿 富雄 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (10284465)
長與 進 早稲田大学, 政治経済学術院, 名誉教授 (40172564)
神長 英輔 國學院大學, 文学部, 教授 (40596152)
Wolff David 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (60435948)
中嶋 毅 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (70241495)
中谷 直司 帝京大学, 文学部, 准教授 (70573377)
青木 雅浩 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70631422)
藤本 健太朗 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 非常勤研究員 (40851944)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | シベリア出兵 / 沿海州セムストヴォ参事会臨時政府 / チェコスロヴァキア軍団 / 中東鉄道 / ロシア極東 / 間島出兵 / コルチャーク政権 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、兎内が、1920年初めにウラジオストクに成立し1年近く存続した、沿海州ゼムストヴォ参事会臨時政府についての論文「沿海州ゼムストヴォ参事会臨時政府(1920年)試論」を『ロシア史研究』に発表した。内戦期に成立したこの極東地方政権は、シベリア出兵を考える上で不可欠の要素とみられるが、研究は乏しく、日本でこれをテーマの中心とした論文が出るのは初めてである。 次いで、井竿富雄が、「琿春事件・間島出兵被害者に対する救恤」を同じ『ロシア史研究』に発表した。1920年秋に沿海州と朝鮮に接する間島に生じたこれらの出来事は、朝鮮軍、ウラジオ派遣軍、関東軍が出動し、シベリア出兵との関係が深い。井竿は、この2つの事件の対応が、被害者の救済という面では大きく異なる内容と経緯をたどったことを明らかにした。 また、中嶋毅は、内戦期ハルビンのロシア人社会や中東鉄道をめぐる状況を検討し、これを論文「内戦期ハルビンの在外ロシア世界の変容 1918-1920」として『人文学報』に発表した。革命・内戦期のハルビンについては、これまでいくつかの研究があるものの、中国(北京政府と張作霖政権)、ロシア(ボリシェヴィキ政権とその他諸政府)、日本などがからんだこの時期の状況を理解することは容易でない。中嶋論文は、現地の新聞や公文書等を丹念に調べて複雑な状況を整理したもので、非常に役立つ業績である。詳細については省くが、その他の分担者各氏も、それぞれのテーマで研究を進め、学会での報告や論文の発表を進めている。 また、史料の公開については、シベリア出兵関係の写真帖2冊の画像をウェブ公開したほか、立花小一郎の日記の1921年4-6月分を、『近現代東北アジア地域史研究会ニューズレター』に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、シベリア出兵の「現場」の状況を押さえるとともに、日露両国の対外政策が、それとどのように関係して展開したかを検討しようとするものである。 そのため、史料基盤の充実をはかるとともに、これまで研究の乏しかった重要事件や事象、人物などを複合的に研究することを進めている。 こうしたことは一度にできることではないが、本研究においては、1920年のコルチャーク政権崩壊後を中心に、ロシア極東(とくに沿海州とサハリン)、中東鉄道の走る北満洲、間島地方、モンゴルなど周辺部を含む各地の状況を検討し、その相互関係を理解することができつつある。 また、これとは別に、1918年8月の出兵開始から同年11月のコルチャーク政権成立に至るまでの状況についての研究も、次第に進みつつある。 さらに2023年度は、フーヴァー研究所の所蔵文書の収集に着手した。ここで収集した、まだ十分に利用されていない日露の関係者の史料を検討することで、シベリア出兵のさまざまな出来事を、多角的に検討する基盤ができつつある。 以上のことから、研究の進捗は今のところ大きな問題はなく、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
史料基盤充実の面では、立花小一郎日記の、ウラジオ派遣軍司令官在任中の部分の翻刻を進め、これを完了させる。また、2024年以降も、可能な範囲で外国の文書館等で関係史料の収集を行う。 また、沿海州ゼムストヴォ参事会臨時政府の後、1921年5月に成立したメルクーロフ政権について研究するとともに、この政権の時期に進行した大連会議、ワシントン会議との関係、これにまつわる日本政府と日本軍、ソヴィエト・ロシアの対応について検討する。 以上のことに平行して、コルチャーク政権の成立とその破綻までの動静について研究を進める。1920年以後のロシア極東、および北満洲のロシア人社会においては、当然のことながら、コルチャーク政権に関係して、その崩壊により極東に移動した人物が非常に多い。その後ハルビン法科大学の設立に参加したニコライ・ウストリャーロフ、コルチャーク政権の首相ピョートル・ヴォロゴツキーをはじめ、多数の軍人や官吏が流入したのである。彼らの、コルチャーク政権期の活動と、その後の極東での活動をフォローすることは、ロシア革命論にも貢献することであろう。
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Research Products
(24 results)