2023 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive Studies on the Pricing Mechanism in the Prewar Japanese Stock Market
Project/Area Number |
23H00838
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
野田 顕彦 明治大学, 商学部, 専任教授 (80610112)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 賢一 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員(客員研究員) (20972102)
盛本 圭一 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (50609815)
鈴木 史馬 成蹊大学, 経済学部, 教授 (60583325)
吉見 太洋 中央大学, 経済学部, 准教授 (30581798)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Keywords | 超長期時系列データ / 適応的市場仮説 / 市場効率性 / 状態空間モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日本の金融市場(株式・国債・短期金利)における超長期時系列データを構築し,理論経済学・計量ファイナンス・経済史といった分野横断的な観点から価格形成機能に関する総合的な検証を行うことである.本年度は,研究プロジェクトを遂行する上で不可欠となる株式の超長期時系列データを構築するための資料調査を行った.また,資料調査によって得られた戦前期・戦間期のデータを用いてLo (2004, Journal of Portfolio Management) で提案された適応的市場仮説の検証を行った.分析の結果,(1) 市場効率性は歴史的な大きな出来事に対応して通時的に変動しており,適応的市場仮説は概ね支持される,(2) 1930年代を通じて政府の市場介入が強化されるにつれ,戦争リスク・プレミアムが上昇し,特に太平洋戦争が不可避となった時期から市場効率は低下した,ことが明らかになった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたように,超長期時系列データを構築するという側面からは,研究プロジェクトの遂行に必要不可欠な資料調査を終えることができた.また,資料調査によって得られた戦前期・戦間期のデータを用いてLo (2004, Journal of Portfolio Management) で提案された適応的市場仮説の検証を行った論文については,国際学術雑誌に投稿することができた.以上2点を完了できた点からも,現在までの達成度は概ね良好であると判断している.
|
Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」でも述べたように,今年度に国際学術雑誌に投稿した論文の実証分析の結果を踏まえ,株式と他の金融資産(国債(長期金利),短期金利など)の関連性について,より精緻な分析を実施してそれらの解釈を実施する.また,それと並行して,「市場を取り巻く環境の変化」が 情報効率性を変動させる要因となっていると考えることは自然であるが,どのような変化がどのような帰結を導くかを理論モデルによって説明 し,それに実証的な検討を加える.なお,今年度までに行った研究成果については,国内外の学会や研究会において報告を行う.そして,得られたコメントに基づき論文改訂を行ったのちに,国際学術雑誌に投稿する予定である.
|