2023 Fiscal Year Annual Research Report
敵対的生成ネットワークを応用した価格発見過程の研究
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23H00839
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
北村 能寛 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90409566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯間 等 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (70273547)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 敵対的生成ネットワーク / LSTM |
Outline of Annual Research Achievements |
金融市場における最近の技術革命は、制限注文や市場注文の情報を活用した情報取引の潜在能力を高めた。そのため、金融分野において制限注文が外国為替レートに与える影響を研究することが不可欠である。この問題に対処するためには、制限注文の情報を利用して外国為替レートを正確に予測できる方法を開発することが重要となる。時間系列データを予測するためのよく知られた方法としては、自己回帰移動平均モデル(ARIMA)がある。しかし、その線形性のため、ARIMAは外国為替レートを正確に予測できない可能性がある。そのため、最近では様々な深層学習モデルを用いた非線形な方法が注目される。その中で、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)や、長期・短期記憶(LSTM)やゲートつき再帰型ユニット(GRU)などが適しており、本研究では外国為替レートを予測するためのLSTMベースの方法を提案する。そして、機械学習分野でその予測精度、ナッシュ均衡の概念を用いてパラメータの学習(最適化)をおこなう点から注目される「敵対的生成ネットワーク」モデルを用いる。本研究の新奇性は、1)従来の成行注文ではなく指値注文の価格発見役割に注目すること、2)人工知能取引を用いる等、取引が複雑化した今日の市場を分析する際に、単純な線形モデルではなく、大規模非線形モデルの敵対的生成ネットワークを用いることにある。これにより、指値注文板の情報から将来価格に関するシグナルの抽出が可能となる。つまりは、指値注文情報が将来為替レートを予測・発見することを実証する。2023年度は敵対的生成ネットワークのパフォーマンスを単純なLSTMと比較し、前者が優れていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
敵対的生成ネットワークのパフォーマンス評価が実施され、それを論文にする段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
敵対的生成ネットワークのパフォーマンス評価を内容とした論文を執筆する。さらには大規模言語モデル(LLM)の利用にも研究を拡張していく。LLMは、機械翻訳や記事生成などの自然言語処理に優れた能力を持つ。ほとんどのLLMは事前に学習された形式で提供され、その中には特定の目的のために微調整できるものもある。LLMの出力は、プロンプトと呼ばれる文によって制御される。文と時間系列データの両方がベクトルで表現できるため、LLMは時間系列データの予測に適している可能性がある。本研究では、制限注文情報からの多変量時系列データを用いて外国為替レートの変化方向を予測するための、プロンプトベースのLLMを提案する。従来の予測のための深層学習モデルでは数値を入力と出力として使用するが、LLMでは文とプロンプトを利用する。本論文では、数値値を組み込んだプロンプトを設計する。LLMとしてはGPT-2を採用し、トレーニングデータセットを用いて微調整する。提案手法の性能は、実際の時間系列データを用いて経験的に検証する。
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