2023 Fiscal Year Annual Research Report
A complex and comprehensive micro-sociological study on the significance and practical methodology of employment support by DARC
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23H00884
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
南 保輔 成城大学, 文芸学部, 教授 (10266207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 光弘 成城大学, 文芸学部, 非常勤講師 (30619771)
相良 翔 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (40736469)
海老田 大五朗 新潟青陵大学, 福祉心理子ども学部, 教授 (50611604)
中村 英代 日本大学, 文理学部, 教授 (50635191)
須永 将史 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (90783457)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 薬物依存からの回復 / 就労支援 / ダルク / 相互行為分析 / 非対称コミュニケーション / オブジェクティベーション / エスノメソドロジー・会話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物依存からのリハビリテーション施設であるダルクは日本各地に約60団体ある。主要調査疑問「ダルクの就労支援は,回復支援の取り組み全体のなかでどのように位置づけられているか」について,ダルク8団体を訪問調査した。インタヴューをした施設代表やスタッフの間では,薬物依存からの回復において就労を重視すべきではないという見解が大多数であった。仕事上のストレスから薬物使用につながるケースが多いことがその理由であった。また,東日本にある1つのダルクにおいて,研究協力者である臨床心理士による継続的フィールド調査を実施した。「共同生活やグループワークで実際になされていること」のデータを収集するとともに,地方のダルクの特徴と利用者の状況を知ることができた。築かれた信頼関係を通じて,映像資料の提供を受けられることとなった。 すでに収集していた認知行動療法プログラム記録のマルチモーダル相互行為分析を,遠隔会議システムを活用して進めた。Libermanのオブジェクティベーション(objectivation)概念を軸とする分析を進めた。2024年6月の国際会議(IIEMCA)においてその成果を発表する予定である。また,「調子が悪い」という申し立てをGail Jeffersonのトラブルトークの道具立てを活用して分析するという方向性が見出された。 薬物依存の特性を理解するために高橋和巳医師の見立て8型の理解を深めた。これによって、ダルクでの回復や就労が難しいケースと回復や就労がスムーズなケースの分類についての理論的な基盤を得ることができた。 なお、薬物依存以外の症状を訴える併存性障害をもつ人が利用する障害者施設での調査も行っている。そこでもミーティングなどの実践は大事にされており、相互扶助の関係を目指している。しかし、ダルクのプログラムとは異なる点はあり、スタッフや利用者は様々な工夫を凝らしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査とデータ収集は順調である。1年目にはデータ共有体制にやや問題があった。これと分析については2年目以降に体制の構築を工夫していく。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究方策を継続するとともに以下の施策を追加する。 「共同生活やグループワークで実際になされていること」の詳細な映像音声資料収集のめどがたち,この点を強化するために精神科医療のエスノメソドロジー・会話分析研究を専門とする河村裕樹氏にあらたに研究分担者として加わってもらう。 相互行為・コミュニケーションの非対称性についての知見を深めるために視覚障害者のコミュニケーションについての調査をおこなう。
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Research Products
(4 results)