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2024 Fiscal Year Research-status Report

リーダーとメンバーとの地理的距離を克服するセキュアベース・リーダーシップ論の構築

Research Project

Project/Area Number 23K25729
Allocation TypeMulti-year Fund
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

池田 浩  九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (80454700)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山口 裕幸  九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50243449)
縄田 健悟  福岡大学, 人文学部, 准教授 (30631361)
Project Period (FY) 2024-04-01 – 2027-03-31
Keywordsセキュアーベース・リーダーシップ / 挑戦 / 安心 / 愛着理論 / 一皮むける経験
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、新たにセキュアベース・リーダーシップ理論を確立することを目的としており、2024年度はその2年目として、以下の知見を得た。
第1に、セキュアベース・リーダーシップの機能の明確化と測定尺度の開発を目的に、2024年3月から7月にかけて空運業の企業に勤務する従業員を対象としたインタビュー調査を実施した。セキュアベース・リーダーとその評価者であるメンバーのペア14組に対し、双方からの聴取を行った結果、リーダー行動に対する認識の相違はほとんど見られなかった。特に、「安心・安全」と「挑戦・リスクテイク」という2機能のいずれにおいても、両者の発言内容には高い一致が確認された。リーダーは、職場メンバー全体に対して偏りなく日常的なコミュニケーションを行い、安心感のある雰囲気づくりに努めていた。その上で、メンバーが新たな課題に取り組む際には、積極的な励ましや動機づけを行っており、安全な基盤の上で挑戦を促していることが明らかになった。
第2に、セキュアベース・リーダーがどのように形成・成長するのかについても検討した。インタビュー結果から、対象となったリーダーは、①過去の失敗や挑戦経験において、特定の他者からの支えや励ましを受けており、それが「他者から安心感を得る」体験となっていた。②また、幼少期から現在に至るまでの人生の中で、自身の価値観を揺さぶられるような出来事を経験しており、それを通じて他者を慮る視点を獲得していることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在のところ、本研究課題はおおむね順調に進展している。その主な要因は、本研究が組織におけるリーダーシップをテーマとしている中で、空運業を営む大手企業を中心に、多大な研究協力を得られていることである。さらに、その他の複数の企業からも研究協力の意向を得ており、次年度以降には大規模な調査の実施が可能となる見込みである。
加えて、研究分担者との連携や協力も円滑に進んでおり、研究室メンバーからも研究補助を受けていることから、今後も引き続き、安定的かつ計画的に研究を推進できる見通しである。

Strategy for Future Research Activity

研究3年目となる2025年度は、以下の3点に重点的に取り組む予定である。
第1に、2024年度に収集したインタビューデータに基づき、セキュアベース・リーダーシップの形成過程に関する理論モデルを構築する。分析手法としてはM-GTAを用い、その成果を学会にて発表することを目指す。
第2に、セキュアベース・リーダーシップを構成する特性について検討を進める。これまでにCoome(2010)によって9つの特性が提示されているが、これはメンバー側からのみの視点であり、また欧州文化の影響を受けたものである可能性がある。本研究では、セキュアベース・リーダーとその直属メンバーの双方からデータを収集しており、両者の回答をもとに、日本の組織文化に即した特性の明確化を図る。現在、質的データの分析を進めており、日本独自の特性が示唆される結果も得られていることから、今年度もしくは次年度の学会発表を予定している。
第3に、上記の検討から得られた新たな特性を取り入れた尺度を開発し、セキュアベース・リーダーシップの有効性を検証する。これについては、複数の国内大手企業から調査協力の承諾を得ており、順次調査を実施する計画である。

Causes of Carryover

助成金を次年度に繰り越した理由としては、空運業の企業へのインタビューについて、まとまったスケジュールで実施することができ旅費を節約できたこと、さらにインタビューデータの文字起こし作業も短時間で行うことができた点も一因である。
次年度に繰り越した助成金については、主に研究成果の発表旅費ならびに国際誌への論文投稿に向けた、英文校閲費ならびに投稿費に充てる予定である。

  • Research Products

    (12 results)

All 2025 2024

All Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Peer Reviewed: 4 results,  Open Access: 4 results) Presentation (5 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 組織におけるワーク・モチベーションとその源泉2024

    • Author(s)
      池田 浩
    • Journal Title

      産業ストレス研究

      Volume: 31 Pages: 165~173

    • DOI

      10.69259/jajsr.31.2_165

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 産業ストレスに活かすグループ・ダイナミックス2024

    • Author(s)
      縄田 健悟
    • Journal Title

      産業ストレス研究

      Volume: 31 Pages: 175~181

    • DOI

      10.69259/jajsr.31.2_175

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Sustainable human resource management and job satisfaction?Unlocking the power of organizational identification: A cross‐cultural perspective from 54 countries2024

    • Author(s)
      Wojtczuk‐Turek Agnieszka......Ikeda, H., et al.
    • Journal Title

      Corporate Social Responsibility and Environmental Management

      Volume: 31 Pages: 4910~4932

    • DOI

      10.1002/csr.2815

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] Conformity‐Based Out‐Group Aggression: Does an In‐Group Audience Intensify Out‐Group Aggression as a Result of Conformity?2024

    • Author(s)
      Otsubo Kai、Nawata Kengo、Yamaguchi Hiroyuki
    • Journal Title

      Japanese Psychological Research

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      10.1111/jpr.12554

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] 職場パワーハラスメントを防止し,ワーク・エンゲイジメントの向上を導く 効果的なアプローチの検証 ―組織開発を目的とした管理職向け短期介入プログラムの開発―2024

    • Author(s)
      小林 百雲子、山口 裕幸、天野 昌太郎、池田 浩、入江 正洋
    • Journal Title

      産業・組織心理学研究

      Volume: 38 Pages: 15~34

    • DOI

      10.32222/jaiop.38.1_15

  • [Presentation] 組織におけるウェルビーイングの階層的ダイナミックモデル2024

    • Author(s)
      池田浩・森永雄太
    • Organizer
      2024年度組織学会研究発表大会
  • [Presentation] リーダーとメンバー間における「信頼のらせん関係」:上司-部下データから見た「被信頼感」の規定因の検討2024

    • Author(s)
      池田浩・井上亮太郎
    • Organizer
      産業・組織心理学会 第39回大会
  • [Presentation] アウトソーシングスタッフの組織アイデンティティとウェルビーイングについて2024

    • Author(s)
      キン佳頴・池田浩
    • Organizer
      産業・組織心理学会 第39回大会
  • [Presentation] A “Spiral of Trust" between Leaders and Members2024

    • Author(s)
      Ikeda, H.,& Inoue, R
    • Organizer
      2024 American psychological association Convention
  • [Presentation] パワーハラスメント防止とワーク・エンゲイジメント向上のための心理的安全性に着目した短期プログラムの介入効果―クラスター無作為化比較試験―2024

    • Author(s)
      小林百雲子・池田浩・入江正洋・堀野研二・山口裕幸
    • Organizer
      日本心理学会第88回大会
  • [Book] 日経BP2025

    • Author(s)
      縄田健悟
    • Total Pages
      288
    • Publisher
      だけどチームがワークしない ――“集団心理”から読み解く 残念な職場から一流のチームまで
    • ISBN
      9784296002221
  • [Book] サイエンス社2024

    • Author(s)
      山口裕幸
    • Total Pages
      232
    • Publisher
      新版・チームワークの心理学ー持続可能性の高い集団づくりを目指して
    • ISBN
      978-4-7819-1608-8

URL: 

Published: 2025-12-26  

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