2023 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害特性と二次的な情緒・行動問題の因果的連鎖に関する大規模縦断研究
Project/Area Number |
23H01047
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
辻井 正次 中京大学, 現代社会学部, 教授 (20257546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 恭朗 金沢大学, 人文学系, 准教授 (00728785)
浜田 恵 中京大学, 心理学部, 准教授 (00735079)
高柳 伸哉 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (20611429)
明翫 光宜 中京大学, 心理学部, 教授 (70469021)
伊藤 大幸 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (80611433)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | コホート研究 / 発達障害特性 / 情緒・行動問題 / 因果的連鎖 / 発達臨床心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害を持つ児童生徒は、対人関係の問題や多動性、不注意などの特性により、抑うつ、不安、不登校、自傷行為、非行、触法行為などの問題を経験することが多い。特に、発達障害特性の個人差が情緒・行動問題にどのように影響するか、交絡要因による疑似相関を調整し、心理社会的メカニズムを媒介することが重要な課題と位置づけ、個人-環境の動的な相互作用の観点から、発達障害特性と二次的な情緒・行動問題の因果的連鎖の解明を目指す。本研究では、1一般児に見られる連続的な発達障害特性の個人差が情緒・行動問題にどう影響するのか、2交絡要因による疑似相関を調整した上で、個々の特性が情緒・行動問題にどの程度の影響を示すのか、3発達障害特性がどのような心理社会的メカニズムを媒介して情緒・行動問題につながるのか、という3つの問いを中核的な研究課題として、発達精神病理学において広くコンセンサスを得ている遺伝-環境の相互作用論(Rutter, 2014など)を理論的基盤とし、情緒・行動問題の発生に関わる要因として、遺伝的要素が強い発達障害特性や知能・気質などの「個人要因」、個人を取り巻く家庭・友人・学校などの「環境要因」、情緒・行動問題のリスクを低減する「保護要因」を想定し、これらの多様な要因間の動的な相互作用の中で情緒・行動問題が生じるメカニズムを、5年間の大規模縦断研究によって包括的に検証する。乳幼児健診では、1歳半健診、3歳児健診において、それぞれ約800名が調査に参加した。保育所・幼稚園では、保育士による評定と保護者による評定のいずれも約1200名のデータが得られた。小学校・中学校では、本人による評定、教師による評定、保護者による評定のいずれも約8千人の有効回答が得られた。全体では約1万人のデータを収集することができ、貴重な知見を加えることができた。成果について、学会誌等で報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳幼児健診では、1歳半健診、3歳児健診において、それぞれ約800名が調査に参加した。保育所・幼稚園では、保育士による評定と保護者による評定のいずれも約1200名のデータが得られた。小学校・中学校では、本人による評定、教師による評定、保護者による評定のいずれも約8千人の有効回答が得られた。全体では約1万人のデータを収集することができ、貴重な知見を加えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては、計画通りに、愛知県大府市において、2007年度生まれから2026年度生まれまでの20世代のコホートを対象とした系列的縦断研究により1歳半から15歳までの発達過程の検証が可能となるため、継続的な調査を重ねていく。
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