2023 Fiscal Year Annual Research Report
Control of the electron-lattice strongly-coupled system by ultrahigh magnetic fields
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23H01117
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 康弘 東京大学, 物性研究所, 教授 (10292757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 祐治 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (10323635)
石井 裕人 東京大学, 物性研究所, 助教 (40897211)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 絶縁体金属転移 / スピン格子結合 / 超強磁場 / 強相関電子系 |
Outline of Annual Research Achievements |
Wドープ量を0から15%まで変化させたV1-xWxO2薄膜結晶の作製を行い、その特性評価を行った。電気抵抗率の温度依存性の測定からは、金属絶縁体転移による低温での急激な抵抗率の上昇が観測された。転移温度のWドープ依存性は、概ねこれまでに報告されている傾向を再現することを確認した。さらに、10 Tまでの定常磁場による影響を調べたが、電気抵抗率の温度依存性における有意な磁場依存性は確認できなかった。一方で、温度上昇と下降の繰り返しによって0.1 K程度の転移温度の変化が観測された。一次転移による僅かな結晶格子の乱れなどの影響があると予想される。12%の結晶については、22 Kの低温において430 Tまでの磁場中では金属化がおこらないことを見出した。6%の結晶においては同様の条件で金属化が確認されており、10%程度を境界として低温での絶縁体化の機構が異なるため、磁場に対する応答が異なると考えられる。また、磁歪測定のための予備実験としてファイバーブラッググレーティング(FBG)を有した光ファイバーを接着した際の転移への影響を調べたところ、転移の鋭さなどに影響があり、注意が必要であることが明らかになったが、転移を捉えることは可能であることが分かった。さらに、従来は光学的検出によって絶縁体金属転移の検出を行ってきたが、より直接的な方法である、電気抵抗率測定を超強磁場中で行うため試料取りつけと周囲の配線のセットアップ方法の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた試料の準備が順調に行え、その特性評価の結果も良好である。W濃度が低い結晶と高い結晶において、磁場に対する応答が異なることが明らかになり、今年度からより詳細にW濃度依存性について調べることを計画する。磁歪(FBG)の実験についても準備のための予備的実験が終了し、電気抵抗率測定のための技術開発も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
絶縁体金属転移をより直接的に観測可能と期待できる、電気抵抗率測定を超強磁場中で行い、V1-xWxO2薄膜結晶の磁場誘起絶縁体金属転移のx依存性を調べる。また、同時進行でFBGを用いた磁歪測定から、格子への磁場の影響を調べる。これらの測定から得られた結果を多軌道ハバード模型から理解できるかを検討し、相転移における量体化と電子相関の関係について明らかにしていく。
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