2023 Fiscal Year Annual Research Report
Verification of anomalous spin-dependent electron correlation of half metal using advanced photoemission spectroscopy
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23H01125
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横谷 尚睦 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (90311646)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ハーフメタル / スピン依存電子状態 / 先端光電子分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハーフメタルCrO2に対して、先端光電子分光実験と理論研究の連携によりスピン依存電子相関効果の実験的検証の研究を進めた。検出効率の低いスピン分解角度分解光電子分光実験および角度分解逆光電子分光実験を効果的に実施するために、これまでに得られているスピン積分角度分解光電子分光(ARPES)の結果の詳細な解析を進め、CrO2の電子状態について新しい知見を得ることができた。加えて、ハーフメタル候補物質のスピン分解電子状態の研究に着手した。 スピン積分ARPESの結果の詳細解析から、フェルミ面上の異なる波数領域において測定した準粒子分散に多体相互作用の特徴である折れ曲り構造を観測するとともに、折れ曲りの大きさに波数依存性があることも見出した。また、実験結果からセルフエネルギーを抽出し、電子-フォノン相互作用を仮定したセルフエネルギーと比較することにより、電子-フォノン相互作用以外の相互作用の関与を示唆する結果を得た。これらの結果は、複数かつ特徴的なボゾンがCrO2の物性に影響を与えていることを示唆する。電子構造の温度依存性測定の結果からは、昇温に伴い、測定波数領域の大部分でフェルミ準位近傍の非占有側に電子状態が成長することを示す結果を得た。この結果は、高分解能スピン分解光電子分光測定で観測された、マイノリティスピン状態による非準粒子状態と対応するものであると考えられる。 関連するハーフメタル候補物質の高分解能スピン分解光電子分光実験を行い、スピン偏極率の温度依存性の測定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CrO2のスピン分解放射光角度分解光電子分光および角度分解逆光電子分光の研究課題に関しては、実験が予定通り進んでいないため上記の判断とした。ただし、関連する実験結果の解析を進めることでより効果的な実験ができる準備が整い、2004年度にマシンタイムも確保することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究課題を遂行する。加えて、ハーフメタル候補物質にも研究対象を拡大して研究を進める。
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