2023 Fiscal Year Annual Research Report
Modeling of Shrinkage Behavior of Polymers
Project/Area Number |
23H01142
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
畝山 多加志 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10524720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土肥 侑也 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10784770)
増渕 雄一 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40291281)
石田 崇人 名古屋大学, 工学研究科, 学振特別研究員(PD) (80968438)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高分子 / 収縮 / ガラス / レオロジー / 過渡ポテンシャル |
Outline of Annual Research Achievements |
理論とモデル化の研究としては、まず、過冷却条件下の高分子鎖の平衡状態での運動を記述しその力学挙動を調べることを行った。からみあいの効果は本質ではないので、短くからみあっていない高分子を対象とした。十分高温ではからみあっていない高分子の運動は Langevin 方程式に基づく Rouse モデルでよく記述できることが知られている。過冷却状態では高分子を構成する粒子の運動は制限を受け、局所的なトラップから抜け出すジャンプによって動くようになると考えられる。ジャンプに基づいて動くジャンプ Rouse モデルの性質を調べたところ、Langevin-Rouse モデルと同様のレオロジーを示すことがわかった。つまり、強い拘束下にある高分子はある側面では単純な運動とレオロジーを示すことがわかった。また、ガラス系の持つ動的不均一性を再現できる粗視化運動モデルとして知られているゆらぐ拡散係数モデルについての理論的検討を進めた。ガラスのような構造を持たない気体系におけるゆらぐ拡散係数の発現機構を明らかにすることができた。高分子ガラスのモデル化を行う上で特殊な運動性を示し構造が簡単な気体系の知見は有用になるものと期待される。分子シミュレーションデータの蓄積も進めている。 実験研究としては、収縮挙動を測定するための熱機械分析 (TMA) 装置を導入し、温度と印加する力を制御した状態での試験片寸法を測定できる環境を整えた。収縮試験に用いる試験片を系統的に作成するためには温度を制御した環境下で一軸伸長を行う必要があるので、試験片作成のために力学試験機に取り付ける恒温槽を設計・作成している。今後、さまざまな条件で作成した延伸試験片に対する収縮試験を行っていくことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論やモデルについては、過冷却高分子に限らず関連するモデルの性質も含めて順調に研究が進んでいる。高分子ガラスの分子シミュレーションデータの蓄積等も進んでおり、収縮挙動のモデル化に必要な知見が蓄積されていると考えている。また、高分子ガラスに限らず、さまざまなソフトマターのモデル化への展開も行えると期待している。一方、実験については高分子ガラスの粘弾性・誘電緩和についてはさまざまなデータが得られて理解が進んだが、収縮実験は装置の導入とテスト系での測定はうまくいったもののまだ収縮用試料の調整方法が確立できておらず、当初予定よりも遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
理論やモデル化については、今年度実施した各種研究を発展させることに加えて実際の収縮試験を模して伸長している試験片が収縮する過程における高分子の運動をモデル化することを試みる。同様の状況に対応する分子シミュレーションも実施する。実験については、まず収縮試験片作成用の恒温槽を完成させる。すでに設計を終えて作成に移っており、完成次第力学試験機に取り付けて高分子量ポリスチレンを伸長することを計画している。伸長した試験片を作成したら TMA を用いて各種温度における収縮挙動を調べる。
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