2023 Fiscal Year Annual Research Report
次世代axion実験のための超伝導量子ビットを用いた単一光子検出と周波数変調の実証
Project/Area Number |
23H01182
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新田 龍海 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 特任助教 (60962371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 詩遠 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 特任助教 (60953651)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | アクシオン / 暗黒物質 / 量子センサー / 超伝導量子ビット |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、1. 超伝導量子ビットの作製、2. 超伝導空洞の作製、3. 超伝導量子ビットを用いた波状暗黒物質探索実験のより深い考察をおこなった。 1.に関して、超伝導量子ビットは超伝導体と絶縁体のサンドイッチからなるジョセフソン接合とキャパシタンスを持つ非線形LC共振回路である。ジョセフソン接合は100 nmオーダーの大きさであるため、電子線描画装置を用いて描画することが一般的であり、作製には数多くの回路及びファブリケーションのパラメータを、使用する装置や用途に最適化する必要がある。本年度は東京大学武田先端知スーパークリーンルーム、沖縄科学技術大学院大学の共用クリーンルーム、およびスイス・ローザンヌ工科大学CMiにおいて、パラメータの最適化をおこない、一定の性能のジョセフソン接合を作製するプロセスを確立した。この超伝導量子ビットは低温科学研究センターの極低温プラットフォームにおいて実際に冷却し、読み出し試験をおこなったところ、10 us弱の熱緩和時間があることを確かめた。これは初期の暗黒物質探索には十分である。 2.に関して、研究初期には方形型の共振空洞を作製していたが、構造上電場が強い場所に外界との隙間をなくすことが困難であったため、同軸型と呼ばれる共振空洞の開発を新たに始めた。高純度アルミニウムからエンドミルと放電加工によって整形した同軸構造を混酸アルミエッチング液で平滑化した場合、Q値が従来と比べ100倍近く向上することを確かめた。 3. に関して、本研究提案では超伝導量子ビットと共振空洞を結合してセンサーとして使用する手法であったが、その他に超伝導量子ビットで共振空洞の共振周波数を変調しうることと(学会発表1件)、超伝導量子ビット単体で暗黒物質探索が可能であること(学術誌掲載1件、論文投稿1件)を示し、今後の暗黒物質探索の多角化という当初の計画を超える有益な考察もおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
超伝導量子ビットの作製技術の鍛錬、共振空洞の設計は当初の計画通りである。また、超伝導量子ビットを用いた暗黒物質探索手法のより深い考察は当初の計画を超えるものであり、暗黒物質探索業界に有益であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の開発を継続し超伝導量子ビットの作製、共振空洞の作製、変調機構の検証などを継続していく。また、新たに判明した暗黒物質探索手法の実現可能性の検証及び実行を現実的に検討する。
|