2023 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙初期を解き明かすメガセンサー望遠鏡に向けたサブミリ波帯超伝導検出器の開発}
Project/Area Number |
23H01183
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木内 健司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00791071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 泰 国立天文台, 先端技術センター, 助教 (40450184)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 超伝導検出器 / ミリ波 / サブミリ波 / 偏光 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミリ波・サブミリ波帯の偏光信号をメガセンサークラス(100万素子クラス)の検出器で観測する実験が多数計画されている。これを実現するためには大面積アレイを高い歩留まりで多数作製可能な新しい検出器の開発が必須となる。この要求を満たすため素子の構造・設計を単純化しつつ、感度を犠牲にせずに作製効率のよいミリ波・サブミリ波検出器の開発を目指して研究を行った。本研究では、力学的インダクタンス検出器(KID)を検出部として用い、アンテナ等のミリ波回路を同一基板上に統合することで作製効率や歩留まりを犠牲にせずに要求を満たす検出器を開発することを最終目標としている。 2023年度は、力学的インダクタンス検出器部の基礎特性評価を継続するとともに、平面型のミリ波回路の開発を行った。特に、ミリ波回路部の開発では第一歩としてマイクロ波帯のmagic-Tと呼ばれる方向性結合器、およびマイクロ波帯のcrossoverと呼ばれる交差構造を開発し報告した。それぞれ、本研究の検出器には必要不可欠な構造であり、広い比帯域を実現しつつ作製工程を大幅に削減することに成功した。 作製においては2023年度初回の作製では加工時のばらつきにより不良が発生するという問題に直面したものの、作製工場と作製手法の再検討および見直しをすることで2回目の作製ではKIDとして動作することを確認し予定通り特性評価を実施することができた。これにより作製手法においてもより成熟したレシピを得ることができた。 これらの結果を踏まえ、広帯域アンテナ、周波数フィルタ、KIDの新しい結合方式の設計を行い試作を行った。試作素子を超伝導状態に冷却して評価したところ、予定通り結合していることが確認できた。更に、低温黒体を用いた光学試験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は4年計画で新しい超伝導検出器の開発を目的としている。 初年度に広帯域かつ作製が容易な方向性結合基magic-Tおよび配線の交差構造を開発できたことは全体の開発において重要な成果となる見込みである。 magic-TについてはJLTPにて交差構造は日本物理学会にて発表している。 超伝導検出器の作製においても、作製上のばらつきにより不良が発生する箇所の特定とその対策が得られたため、今後の開発では安定した作製が可能になった。 更に、KIDとミリ波回路を統合した検出器の試作を行い、電気的・光学的な評価に取り組んでおり計画通りの成果が得られている。 以上の理由により、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては、2023年度に作製した超伝導検出器の測定を継続するとともに、開発した新しいミリ波回路を統合した超伝導検出器の評価を行ってゆく予定である。 検出器を測定する周辺環境を整備し、迷光と呼ばれる本来期待される経路以外からの光を抑制することが正しい検出器評価につながる。そのため、迷光対策を行いより適切な測定結果を得るとともに、その成果を設計・作製にフィードバックすることを目指す。 試作した素子はすでに多くのミリ波回路を含んでいるため、測定結果を精査することで改善点の洗い出しおよび対策を施した設計に取り組む。 また、実際に作製した場合には作製上のばらつきがあるため、作製結果した結果をもとにばらつきに対してロバストな設計へと改善する。
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[Presentation] Design of on-chip lumped element bandpass filters for multichroic imaging in submillimeter astronomy2023
Author(s)
Shinsuke Uno, Kah Wuy Chin, Tai Oshima, Satoshi Ono, Takeshi Sakai, Akira Endo, Kenichi Karatsu, Jochem J. A. Baselmans, Tatsuya Takekoshi, Kotaro Kohno, Shuhei Inoue, Toyo Naganuma, Yuka Niwa, Ryosuke Yamamura, Kazuki Watanabe
Organizer
36th International Symposium on Superconductivity (ISS2023)
Int'l Joint Research
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[Presentation] ミリ波サブミリ波多色カメラに向けたオンチップ準集中定数フィルターの設計2023
Author(s)
宇野慎介, 陳家偉, 井上修平, 河野孝太郎, 大島泰, 小野哲, 酒井剛, 長沼桐葉, 山村亮介, 竹腰達哉, 丹羽佑果, 渡邉一輝
Organizer
日本天文学会2023年秋季年会
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