2023 Fiscal Year Annual Research Report
A new approach to reconstruct tsunami history: assessments based on identification and numerical modeling of erosional features
Project/Area Number |
23H01252
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 大助 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (50436078)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 和久 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10376543)
石澤 尭史 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50849320)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 仙台市 / 侵食地形 / 江戸時代 / 数値実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)地形判読・GPR調査による侵食地形の探索:仙台市若林区荒浜南長沼において、過去の空中写真から判読した土地条件と既知の浜堤の分布を考慮し、多数の測線でGPR調査を実施し、海岸線と平行な方向の測線で埋没した侵食地形の可能性がある一連の反射面を確認した。また、仙台市宮城野区岡田砂原において、浜堤上に発達した湿地でGPR調査を行った。海岸線と直交する方向の測線で海側に傾斜する反射面とその上の水平な反射面が認められ、埋没した侵食面の可能性が示唆された。 (2)地層掘削・試料分析による成因の識別:仙台市宮城野区岡田砂原において、浜堤上に発達した湿地の地層掘削を実施した。深度50cmで埋没した浜堤の上面に達し、この湿地が元は浜堤の一部であることが明らかになった。採取試料4点の珪藻分析を行い、湿地成立以降、海とは直接繋がらない淡水環境であったことが判明した。 (3)形成年代の推定:仙台市宮城野区岡田砂原で採取した試料3点の14C年代測定を行った。浜堤堆積物最上部は15世紀末~17世紀中頃、湿地堆積物の中部・上部は17世紀末~20世紀初頭の値を示したことから、江戸時代に相当すると考えられる。 (4)高精度測量・DEM作成による侵食量の推定:高精度DEM作成の準備として、国土地理院から提供を受けた2005年および2011年の2mメッシュ航空レーザー測量データをコンパイルして異なる2つの時期のDEMを作成した。また、それらの差分から2011年東北地方太平洋沖地震津波による侵食量を評価するためデータを作成した。 (5)侵食地形形成条件の逆解析とその結果を用いた波源推定:逆解析の試行として、岩沼市および東松島市における2011年東北地方太平洋沖地震津波による侵食を例に、津波高と波長、地形条件、堆積物の粒径を変えた数値実験を行い、それぞれのパラメータに対する侵食地形の応答を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施項目(1)(4)(5)については計画に沿って実施できている。特に(5)については、現在の数値シミュレーション手法で侵食地形の再現が可能であることを示し、津波・地形・堆積物の各パラメータに対する応答まで明らかにできたことから、予定よりも進捗したと考えている。一方、(2)の掘削による試料採取・分析と(3)の年代測定では、採取できた試料の量、実施した珪藻分析・年代測定の数量が予定よりもやや少ない状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
実施項目(2)(3)については、GPR調査に合わせて採取する試料の数量を多くし、十分な数の分析を実施できるように日程や作業方法を再検討する。具体的には、より長い調査日程および回数、機材運搬など掘削作業の効率化、GPRデータを活用した掘削地点の事前評価が考えられる。
|