2023 Fiscal Year Annual Research Report
福島県常磐海岸における約7,000年間の津波履歴の解明と沿岸低地遺跡の動態変化
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23H01255
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
卜部 厚志 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 教授 (20281173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高清水 康博 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10446370)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 常磐海岸 / 津波堆積物 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島県双葉郡浪江町請戸地区において海岸から約1000~1400 mの距離に位置する7地点で2~3 mのボーリングコアを掘削し,層相記載,粒度分析,珪藻分析,放射性炭素年代測定を行った.ボーリングコアから,泥層が分布する中に10層のイベント堆積物(津波堆積物)と2層の火山灰層(沼沢湖テフラ,十和田中掫テフラ)が挟在することが確認できた.多くのイベント砂層で下位層との境界が明瞭であること,偽礫を含むこと,級化構造を示すこと,海岸から遠い場所まで堆積すること,海棲の珪藻が含まれることから,本研究で確認されたイベント堆積物は津波の流れにより堆積した可能性が高い. 最上位のイベント堆積物は2011 年東北地方太平洋沖地震によるものであると判断した.年代測定より,上位からEV3層,EV4層,EV6~10層のイベント堆積物の年代は約1100 年前,2700~2300 年前,3300 年前,3900 年前,4800 年前,5000 年前,6000 年前であることが明らかとなった.EV3層のイベント堆積物は,869 年貞観地震によるものである.EV層の認定と年代測定結果は,先行研究より高精度に出すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した調査を実施した結果,当該地域のイベント堆積物について,従来の研究を上回る10層準のイベントを認定でき,高精度で堆積年代が推定できた.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も継続して,浪江町請戸地区の調査をすすめるとともに,いわき周辺など常磐海岸の海岸低地において調査を行い,イベント堆積物の検出を行っていく予定である.
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Research Products
(5 results)