2023 Fiscal Year Annual Research Report
油中におけるソフトマテリアルの超高摩擦発現メカニズムの解明と超耐滑靴底の開発
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23H01325
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 健 東北大学, 工学研究科, 教授 (50332515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 圭 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, リスク管理研究グループ, 任期付研究員 (60612398)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ソフトマテリアル / 摩擦 / 靴底 / 潤滑 / 転倒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,以下の3点である. 1. 粘性流体中において無潤滑下の摩擦係数をはるかにしのぐ超高摩擦を示すゴムブロック形状やすべり摩擦条件を体系的に明らかにする. 2. 真実接触面積,接触界面における流体膜厚分布,空隙分布,流体圧力分布,ゴム試験片のひずみ分布を同時計測可能な摩擦試験システムを開発し,油中でのゴム材料の超高摩擦発現メカニズムを解明するとともに,超耐滑靴底開発の指針を得る. 3. 油で覆われた床面上での方向転換・走行や,油で覆われた斜面での安全歩行を可能にする超耐滑靴底を開発する. 令和5年度では,まず第1の目的を達成するために,異なる端面角部半径を有するゴムブロックを用いて,乾燥状態,水中,濃度の異なるグリセリン水溶液中で平滑なガラス面に対してすべり速度,垂直荷重を変えて摩擦試験を行った.その結果,高グリセリン水溶液濃度,低荷重,高すべり速度条件において,端面角部半径が小さなゴムブロックにおいて1.0以上の高い摩擦係数を示すことが明らかとなった.また,接触界面における流体膜厚分布,空隙分布,流体圧力分布を計測できるシステムを開発し,接触界面における流体圧力の計測を行ったところ,このような高摩擦を示す場合においては接触界面に負圧が生じていることが示され,流体起因の吸着力の発生が高摩擦発現に寄与していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和5年度では,グリセリン水溶液中でゴムブロック試験片が高摩擦を示す条件を明らかにすることができたが,同時に接触界面の観察システム,流体圧力計測システムの構築も行い,接触界面における流体中の負圧が高摩擦に寄与する可能性を明らかにすることができた.高摩擦発現メカニズムの解明は令和6年度における実施項目であったが,令和5年度中に高摩擦発現メカニズム解明のきっかけを得ることができており,当初の計画以上に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度では,粘性流体中におけるゴムブロックの高摩擦発現メカニズムを流体中の負圧発生との関係から明らかにする.具体的には,摩擦中のゴムブロックの変形挙動と流体膜厚の計測といった実験と並行して流体ー構造連成解析を行うことで,超高摩擦発現メカニズムの解明を試みる.さらに,得られた知見に基づいて超高摩擦ゴムブロックの設計指針を明らかにする.
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