2023 Fiscal Year Annual Research Report
摩擦in-situ 3D赤外分光法による水潤滑のメカニズム解明
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23H01329
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
粕谷 素洋 公立小松大学, 生産システム科学部, 准教授 (00582040)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 水潤滑 / 赤外分光 / 摩擦 / 水構造 / 水和 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,水や基材のせん断に伴う異方的な分子ダイナミックスが水潤滑にどう影響するか?という学術的な問いに対して,研究代表者の分光・精密力学測定の双方を用いた研究経験を基に,分子配向・結合のせん断に伴う変化が3次元的に観測できる多角分解赤外分光と摩擦試験を組み合わせた評価装置を開発する.これを水潤滑材料に適用し,せん断に伴う構造異方性の3次元的な変化を観測して,摩擦挙動や潤滑膜厚との相関を調べる.取得データを基に,潤滑機構を分子論的に明らかにするとともに,水潤滑の学理構築と系統的な材料・機械設計の指針提示を目指す. 本年度は市販の赤外分光装置を基にして,せん断させている状態(in-situ)で,基材間の潤滑剤中の接触部分について,多角入射分解赤外スペクトル測定が可能な装置のプロトタイプを製作した.具体的には,まず市販の赤外分光装置に多角入射分解ユニットを導入し,試料室内に設置可能な小型の摩擦試験機を設計した.小型の摩擦試験機には基板間の負荷と潤滑剤の膜厚を3次元ステージにより制御できる機構を導入した.この設計を基に,プロトタイプの装置を製作した.また,これをについて,実際にモデル試料であるヘキサデカンについて測定を行い,装置で多角分解赤外スペクトル測定が可能であることを確認することができた.さらに実使用時の操作を基に,基板と制御用モーターの配置を逆にする等の改良点を見出すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
装置の製作については順調である一方で,計画していた水潤滑試料の測定については,製作した装置の動作の関係で困難点がいくつか見つかったため,実施が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に作製した装置のプロトタイプについて,改良を行い,装置としての完成を目指す.また,水試料についての測定を行う.また,作製した装置を用いて,水潤滑試料についてスペクトル計測を行い,分子レベルの機構解明を目指す予定である.さらに,現在作製中の透過型測定装置については膜厚制御等に限界があることが分かってきていることから,相補的な使用を想定できる反射測定型の装置についても,開発を進める.
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