2023 Fiscal Year Annual Research Report
Superlayer flow science near the object surface for the next-generation high-speed transportation
Project/Area Number |
23H01335
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
焼野 藍子 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (30634331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥泉 寛之 東北大学, 流体科学研究所, 技術専門職員 (60647957)
中井 公美 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (20897813)
初鳥 匡成 京都大学, 工学研究科, 助教 (50812765)
阿部 圭晃 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (40785010)
大林 茂 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (80183028)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 乱流 / 遷移 / 制御 / 表面粗さ / データ同化 / 帯電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,次世代輸送機器関連技術を革新する,ナノサイズの気体分子運動と,マイクロサイズの粗さ影響を受ける乱流渦を考慮し,さらにデータ科学に基づくマクロサイズな視点ももって,実際に車や航空機など輸送機器に搭載可能な新しい技術構築をすること,そしてそれにより,新しい超層的流体科学の確立を目的とした研究を行う. 今年度はマイクロサイズの粗さ (Distributed Micro Roughness と命名) 影響による遷移過程への影響について一定の理解を得ることができた.小型風洞でバイパス遷移,直接数値計算でTollmien-Schlichting(TS)遷移をそれぞれ再現し,それに対するマイクロサイズの粗さ影響を調査した.バイパス遷移に対しては,粗面上では縦渦エネルギーが低減し乱流成長が遅延することを見出した.TS遷移に対し,同じ粗さ高さでも粗さ粒子がまばらで小さな場合は,遷移後の乱流エネルギーが低減し,摩擦抵抗を低減する可能性があることがわかった. また,ナノサイズの気体分子運動への影響を解析するため,今年度は平板に帯電を保持するノウハウを獲得し,さらに電気的影響を受けにくいPIVや熱線流速計によらない,流れの可視化方法の開発を行なった. さらに,マクロスケールの機器性能評価については,全機周りはRANS,表面付近は壁モデルを使用しないDNSによる,従来とは逆のハイブリッド的アプローチにより,低抵抗化デバイスの性能評価を行える技術基盤の構築を行うことができた.そしてデータ同化については,角柱周りでカルマン渦を生成する非定常な流れ場に対し,データ同化を用いて,従来の非定常RANSモデル係数を最適化することで,カルマン渦の周波数をよく再現できることを見出した. そのほか,実用化に向けて企業の方々と話し合いを進めており,東北大学知財部と連携し技術の一部について特許出願を果たした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験のデータ同化に関して,3年目以降に本格的に実施する予定で準備を進めていたが,すでに非定常流れに対し有用性を確認することができた.さらに,電気的影響を受けにくいと考えられる可視化法に関しては,銅析出など別分野への応用を目指した共同研究の立案,予算の獲得へと発展している.
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロサイズの粗さ影響に関しては,直接数値計算によるパラメトリックスタディを通じてより優れた形状を見出し,その理由を説明,機構解明を進める.小型風洞での実験でも一定の効果を確認できたことから,次年度以降は,磁力支持天秤装置による抵抗値の直接測定を実施し,さらなる実証を行う. ナノスケールの現象について,帯電量を保持した平板上での流れの可視化実験については,次年度以降さらに回数を重ね,最終的な結論を得る.それの結果次第で,ナビエ・ストークス方程式の体積力項のデータ同化による最適化や,分子運動に関するモデルの構築へ歩みを進めていく. マクロスケールの機器性能評価については,逆ハイブリッドアプローチをより洗練させていく.構築した手法を用いて,DMRデバイスの効果検証も実施していく.
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