2023 Fiscal Year Annual Research Report
流れと相互作用する繊維群の集団的固有運動の数理モデルを基盤とする輸送制御設計
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23H01344
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹内 伸太郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (50372628)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 相互作用問題 / 繊維群 / 連続体モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
稲穂や森林の樹木、生体内の繊毛などは、その可撓性によって流体中で輸送現象(例:水蒸気、花粉、農薬、CO2、生体内物質、熱、乱流応力)を担っていると考えられるが、繊維層内外の流れの計測は時に大規模になり、または非侵襲的な計測が困難であるため、数理モデリングと数値計算による期待が高い。初年度には、少数の繊維と流体の相互作用に関する基礎的検討を行った。問題設定に基づいて支配方程式各項のオーダー評価を通して近似を行い、流体運動と相互作用する弾性繊維の運動モデルおよび流体への反作用力モデルを検討した。現段階で支配的な影響を持つ項は、各繊維近傍の粘性流れに由来する減衰項のほか、繊維の固有振動に近い振動モードによるソース項である。このモデルには、単独繊維に加えられた強制振動(例:外部渦による局所加振)を周囲の繊維に伝播させる効果を含んでおり、位相がそろった繊維群の運動(例:穂波)の維持伝播に関する理解が深まると期待している。このモデルから予想される基本的な繊維挙動および流体の応答について検証するため、個別要素モデルで表される弾性繊維と非圧縮ニュートン流体の運動をカップリングする流体構造連成シミュレーション手法を整備した。弾性繊維の運動は有限要素法、流体運動は直交格子における有限差分法、カップリングは埋め込み境界法を用いた。一定圧力勾配あるいは空間非一様擾乱を加えた条件下では、モデルによる予想は流体構造連成シミュレーションの結果とおおむね一致した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
繊維と流体の運動の相互作用を記述する連続体モデルについて、おおよその形が見えてきて、「研究実績の概要」でも述べた通り、物理的意味も明らかになりつつある。また計画を少し前倒しして、検証用の数値シミュレーション手法も整備し、モデルの検証に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きさまざまな条件下でモデルの検証を行い、学会発表と論文発表の機会を検討する。同時に、今回のモデル化で無視した非線形項(など)の効果や導入した近似に関する考察を通して、モデルの適用範囲(パラメーター範囲、現象の適用範囲)について明らかにする。繊維群の規模を拡大し、繊維群の集団現象を示す解の多様性を調べる予定である。
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