2023 Fiscal Year Annual Research Report
白金フリー・炭素フリー酸化チタン触媒の形態・組成精密制御による高性能化
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23H01347
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
千坂 光陽 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (20513310)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 起動停止 / 加速劣化 / 酸素還元反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、酸化チタンの形態制御と高性能化に注力した。前者についてはフラックス法を利用し、開始材料・合成温度・時間が酸化チタン粒子の繊維化に与える影響を探索した。酸化チタン粒子と混合溶融塩種をそれぞれ複数組み合わせて系統的に検討し、以下の知見を得た。酸化チタン粒子から酸化チタンナノチューブを再現性良くアスペクト比10以上で合成するのに、NaCl-NaPO3混合溶融塩が適し、開始材料の酸化チタン粒子にルチル相を含むことが繊維化に必要不可欠である。 並行して実施した後者では、新たにフッ化アンモニウムを従前の導電性窒化チタン表面に形成した酸化チタン触媒と混合してアニールする工程を検討した。本工程により、新たにアナターゼ型TiO2相とルチル型TiO2相の界面が形成され、酸素還元活性が大幅に向上した。アニール温度、時間、雰囲気とフッ化アンモニウム添加量を最適化した触媒から、これまでに報告された酸化物系触媒の中で最も高い半波電位が得られた。さらに燃料電池実用化推進協議会が定めるプロトコルを用い、加速劣化試験を実施した。可逆水素電極電位に対して1.0から1.5 Vの高電位にさらされる起動停止試験への耐久性は、所謂Fe/N/C触媒を含む全非白金触媒の中で最高レベルであり、5000回の起動停止試験後も半波電位は0.02 Vしか低下しなかった。その前後における表面元素の結合状態や形態を評価した結果、酸化チタン相の酸素サイトを置換した三種のアニオンがいずれも脱離せず、加速劣化試験中に結合状態が変わらなかったことが耐久性向上の要因であることを見出した。従前は同条件で加速劣化試験をしたのちにアニオンが脱離して性能が低下することが課題だったが、触媒を強く酸化させるフッ化アンモニウムとのアニールにより、高電位での酸化にも耐えるアニオンが残ったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第一目標である形態制御については予定通り順調に実施しており、求める形態の酸化チタンナノチューブが再現性良く得られている。組成制御についても予定通り進めている。 高性能化については予定を上回る進捗状況であり、特に耐久性については望外の結果を得て論文発表することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
組成の精密制御に今後重点的に取り組む。 2023年度は当初計画に無かった硫黄の置換導入により触媒性能が大幅に向上したため、次年度は特に硫黄の価数や導入量制御を検討する。 必要に応じ外部機関での委託試験も活用して、表面とバルクの元素分析を実施して性能に支配的な要因を明らかにする。 そのうえで目標値達成を見通す指針を探索する。
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Remarks |
Journal of Materials Chemistry A誌に発表した論文は、coverに選ばれたため出版後6週間の期間限定でオープンアクセスです。
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