2023 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of Reactions between Polycyclic Aromatic Hydrocarbons on the Critical Diameter of Carbon Nanoparticle
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23H01351
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松川 嘉也 東北大学, 工学研究科, 助教 (30882477)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 多環芳香族炭化水素 / 核生成 / カーボンナノ粒子 / すす |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素材料の生成において重要な役割を果たす多環芳香族炭化水素(PAHs)について、異種PAHs同士の反応性とPAH上の反応サイトの役割を解明するとともにすすの粒子核サイズの支配因子を明らかにする。ラボレベル反応装置に必要なきわめて小さいフィード速度では、固体・粉体であるPAHのみを原料として安定供給することは極めて困難であったが、科研費 若手研究(課題番号21K14086)を通じて供給技術を確立済みである。それを2台組み合わせたシステムによりPAHs同士を反応させる。さまざまな反応サイト・化学構造を持つPAHを反応させ、PAHの反応サイト・化学構造がPAHs同士の反応性、すすの核生成挙動に及ぼす影響を明らかにする。 1年目の本年度は2種類のPAHsを独立して供給できるように、フィード装置を新たに1台導入し、保温配管により安定フィードするための装置を製作した。その後、原料としてナフタレン、アントラセン、フェナントレンおよびピレンなどの数種類のPAHsを組み合わせてすすを生成させ、異種PAHsの反応性および粒子核のできやすさを検討した。PAHsが1種類の場合、PAHsの分子量が大きいほど、カーボンナノ粒子の生成量が著しく大きくなった。それに反するようであるが、2種類のPAHsを組み合わせた場合、合計の炭素供給量が同じであれば、分子量の大きなPAHsが少量でも存在すれば、カーボンナノ粒子の生成量があまり変わらないという驚くべき事実が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種のPAHsを同時に供給した場合においても安定供給することのできる供給系を構築し、データを取得中である。
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Strategy for Future Research Activity |
すすが生成しない条件とわずかに生成する条件との境目(Sooting Limit)を見つける。温度を1500~1700℃で変化させたときのSooting Limitを探索し、核生成メカニズムを明らかにする。すでに検討に着手しているが、反応サイトの影響を見るために、もう一方のPAHにはフェナントレンとアントラセンといったように同じ炭素数だが異なる反応サイトを持つPAHあるいは側鎖を持つPAHを選定することでPAHの化学構造が核生成に及ぼす影響を明らかにする。
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