2023 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧直流グロー放電生成時に観測される発光の自己組織化メカニズムの解明
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23H01388
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白井 直機 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80552281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 浩一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (50235248)
富田 健太郎 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70452729)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / 自己組織化 / 気液界面プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
大気圧中で直流電圧駆動の放電プラズマを生成するとある条件において、陽極表面上で自己組織化された発光が観測されるが、その生成因子を実験的アプローチにより調査した。自己組織化パターン形成には、負性ガスである酸素の有無が重要であること、数学的に自己組織化形状が得られる反応拡散系ではある反応物質の密度が増減しながら拡散して模様を形成することを考慮すると、プラズマによるパターン形成は負イオンの有無と電界による輸送が重要であると予想される。2023年度はレーザー光脱離法による負イオン種の同定、レーザー誘起蛍光法による窒素イオン密度の計測、OHラジカルの密度分布・回転温度の計測パターン構造の外部電場制御を行った。その結果パターン構造が生じた際にOH-等の負イオンは確かに観測されるものの、液体陽極の場合と金属陽極の場合で観測される負イオン種の比率が異なっていてもパターン構造が観測されることから負イオンは直接的な生成因子でないことが示唆された。一方、レーザー誘起蛍光法によるOHラジカルの密度ならびに回転温度の空間分布の結果からパターン形成が観測されているときに放電プラズマ領域の温度が高くなっていることが観測された。これは温度の上昇によりプラズマ領域の密度分布が低くなっていることを示唆している。計算シミュレーションや低気圧環境でのプラズマにおいては希ガスのみでも パターン形成が得られていることから、大気圧直流放電によるパターン形成においても負イオンよりも温度上昇による密度の低下或いは、空間密度分布の変化が重要である可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上に述べたように、2023年度において研究計画調書に記載した研究計画を予定通り実施した。また当初重要と考えていた負イオンがパターン形成に重要な役割を果たしているという予想は、完全に否定はできないものの、得られた実験結果からは負イオンよりもガス密度の分布が重要であるという新たな知見を見出した。当初の研究計画で想定していた負イオン計測を中心に研究を進める予定から方針転換をしたものの、新たに重要となる指標を見出したことから、本計画は総合的にみておおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
詳細なガス密度制御のために放電容器を準備し圧力やガスを変化させて直流電圧駆動の放電プラズマを生成し、発光のパターン形成との関連性を明らかにしていく。具体的には希ガスのみの雰囲気、窒素などの分子性のガス雰囲気、さらに酸素ガスを添加した雰囲気においてパターン形成の有無を調査し、改めて負イオンの有無の影響さらに、圧力の影響を詳細に調査していく。またレーザー誘起蛍光法によるOHの回転温度分布等によりプラズマの詳細を調査し、大気圧直流電圧駆動の放電プラズマにおいて陽極表面で観測されるパターン形成の生成因子を実験的に明らかにしていく。
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