2023 Fiscal Year Annual Research Report
Data-driven approach for advanced control of immune system by using low-temperature plasma
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23H01404
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
村上 朝之 成蹊大学, 理工学部, 教授 (20323818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
作道 章一 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (10397672)
久富 寿 成蹊大学, 理工学部, 教授 (70416882)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 低温プラズマ / 免疫システム / データ駆動科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の身体をウイルスなどから守る免疫は、異物を「見つける・戦う・伝える」活動が極微から全身レベルに至る極めて複雑なシステムである。近年、低温大気圧プラズマによる免疫応答活性の可能性が示され、国内外で盛んに実験的研究が行われている。一方、数理的なアプローチはほとんど試みられておらず、理論的および数値シミュレーションから得られる知見に対する期待が高まっている。 本研究は、低温プラズマの暴露によって、その精緻なバランスを維持しながら、免疫システムを制御することを目指す。特に、実験・情報数理・数値シミュレーションを相補的に用いたデータ駆動型アプローチにより、免疫細胞の持つ「標的を見つける」「協奏的に攻撃する」「情報を伝え記憶する」という本質的な働きを数理的に再現(ルール化)する。これにより、多種多様な免疫細胞が自律的に社会を生み出す様相をシミュレートする新しい数理モデルを開発する。 令和5年度においては、低温プラズマによる細胞死の誘導実験を行い、これに対応する単一細胞内のシグナル伝達モデリングを行った。また、自然免疫システムにおいて重要な役割を担う白血球(好中球・マクロファージ)の働きに注目し、免疫作用の初期に比較的短いスパンで生じる現象を対象としたモデリングに取り組んだ。 これらの成果に基づき、原著学術論文 1編を著し、国際会議招待講演 7件を行った。加えて、7件の国際会議発表および 7件の国内会議発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究が進展しており、原著学術論文1編出版ならびに7件の国際会議招待講演を行うことができた。数理モデルの開発のみならず、学内および学外分担者との共同実験研究も順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、昨年度に引き続き、免疫細胞の持つ最も基本的な機能である、遊走(標的となる異物を発見・自律的に移動し、これに接近すること)および貪食(標的となる異物を捉え、捕食すること)に焦点を絞り、そのダイナミックな挙動を模擬する時間依存2次元数理モデルを開発する。特に、白血球(好中球・マクロファージ)およびリンパ球(Natural killer細胞)の活動が創発する自然免疫系の挙動および低温プラズマがそれに及ぼす影響について明らかにする。また、T細胞・B細胞等のリンパ球の挙動を含んだ獲得免疫系へとモデルを拡張することで、低温プラズマによる免疫原性細胞死の誘発(免疫力強化によりがん細胞を除去する方法として期待されている)の実現可能性を検討する。
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