2023 Fiscal Year Annual Research Report
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23H01414
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 高至 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (30423015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 理志 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80711522)
田谷 昭仁 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (10867948)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 無線LAN / センシング |
Outline of Annual Research Achievements |
無線LANの制御情報であるビームフォーミングフィードバック(BFF)は、固有モード伝送のためにチャネル状態情報(CSI)から計算されるものであり、環境の変化に対してインフォマティブである。このため、CSIに基づくセンシングや、BFFに基づくセンシングが検討されてきたが、特に後者は教師データを必要とする機械学習ベースのものが多く、教師データを観測できない場合には有用ではないと考えられてきた。一方で、研究代表者らのこれまでの研究により、傍受したBFFにより機械学習なしに人の呼吸数推定などが可能である一方、プライバシ漏洩リスクをはらんでいることが明らかになっている。 2024年度は、BFFのどの要素がセンシング特徴量として重要なのかという観点で、以下の2つの研究成果をあげた。 BFFには、サブキャリア毎のCSI行列を特異値分解した右特異行列Vと、全サブキャリアで平均化した特異値である平均ストリームSNR(AS-SNR)という多数の要素が含まれている。右特異行列Vが有する物理的情報を明らかにするため、2×2 MIMO CSIに対応するBFFフレームに格納されている右特異行列Vが、CSIの要素から、数値計算ではなく記号計算で求められることを明らかとした。 次に、BFFに含まれるどの要素がセンシング特徴量として重要かを検討した。具体的にはAS-SNRを、無線LANセンシングの評価指標として有望なセンシングSNR(SSNR)を用いて分析した。その結果、最終ストリームのAS-SNRが、すべてのストリームの中で最も低いSNRを持つ一方で、SSNRの観点からは優れた特徴量であることが明らかとなり、呼吸数推定においてもこの仮説を支持する実験結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果はIEEE Wireless Communications Letters (IF 6.3)に採録されたほか、現在投稿中のジャーナル論文もあり、進捗は順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
無線LANの制御および最適化に有用な情報として、ビームフォーミングフィードバック(BFF)を用いた送受信局間の見通し判定の検討を行う。BFFは、チャネル状態情報(CSI)を特異値分解(SVD)して得られるものである。本研究では、SVDと主成分分析の関連性に着目し、BFFのどの要素が見通しの有無に対してインフォマティブであるかを明らかにすることを目的とする。具体的には、BFF行列の第一列ベクトルや特異値、サブキャリアごとの情報など、どの要素が見通し判定に寄与するかを解析する。その結果を踏まえ、実機実験で観測したデータに対して見通し判定を行い、その精度および実用性を検証する。 また、BFFおよびCSIを用いたバイタル情報(呼吸数など)の推定に関する研究も進める。特に、環境条件(障害物の有無など)や被験者の衣服などが推定精度に与える影響を実験的に確認する。これにより、バイタル情報推定の信頼性を高める条件や、逆にプライバシー保護を高める条件を定量的に評価することを目指す。
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