2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23H01428
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
平田 浩一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 上級主任研究員 (80357855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 順 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 招へい教員 (90452424)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 量子ビーム / イメージング質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高エネルギークラスター衝撃イオン化等、固体試料を高い再現性で高強度イオン化できるという特徴を持つイオン化法と、高効率な顕微イメージング質量分析が可能な投影型イメージング質量分析器の特徴を融合させた分析技術を開発することで、高精度で高感度な顕微イメージング質量分析を実現する。このために、当初の研究計画に従い、(a)高強度・高再現性イオン化法に適した投影型イメージング質量分析器(投影型IMS)の開発、(b)投影型IMSに適した高強度・高再現性イオン化制御法の開発、の各項目に関して以下の研究開発を行った。 [(a)投影型IMSの開発]:高強度・高再現性イオン化法に適した投影型イメージング質量分析器(投影型IMS)として、広範囲の質量分析が可能で質量分解能も高いTOF型質量分析器に採用した。また、イオン化により生じた2次イオンの試料上での放出位置情報を得るために、質量分析器末端に設置されたイオン検出器(蛍光面付きマイクロチャンネルプレート)位置で、放出された2次イオンの位置収束性と時間収束性が共に高い精密引き出し電極を開発・作成し、試料上の測定位置を精密に制御するための試料ステージと共に、分析器内に設置した。さらに、レーザーイオン化法を用いて、開発した上記質量分析器の予備実験を行い、質量分析スペクトルを取得した。 [(b)投影型IMSに適した高強度・高再現性イオン化制御法の開発]:本開発に関しては、イオン加速器を用いて、イオンビーム形状・位置制御機能を使用した高速クラスターイオン照射実験を行い、2次イオンスペクトルを採取した。また、分析機器の小型化、及び、ビームの照射形状制御・位置制御機能とビーム調整の操作性の向上を目指した小型イオン加速装置を開発し、その加速電極部分を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の各研究項目の進捗は、[(a)投影型IMSの開発]:高強度・高再現性イオン化法に適した投影型イメージング質量分析器(投影型IMS)の開発・構築を行い、本分析器を用いた予備実験として質量分析スペクトルを取得した、[(b)投影型IMSに適した高強度・高再現性イオン化制御法の開発]:イオン加速器を用いイオンビーム形状・位置制御機能を使用した高速クラスターイオン照射実験での2次イオンスペクトルを採取した、である。さらに、項目(b)では、ビームの照射形状制御・位置制御機能の向上と、分析機器をより小型するための加速装置を開発と加速電極部分の構築を行った。令和5年度の研究実施計画をほぼ達成したことから、おおむね順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) [投影型IMSの機能追加と最適化]:2023年度に整備した蛍光面付きMCP後方に位置敏感型検出基板を設置して、質量分析を行った2次イオンのイメージング像の取得を可能にする。イメージング像取得機能動作試験では、レーザーイオン化、または、荷電粒子照射イオン化法を用いて、IMSで保持と拡大を行った、微小領域構造を持った有機試料から放出する2次イオン像の取得する予定である。このために、IMS内のイオンレンズとイオン検出器に高電圧を印可するための高圧電源も整備するとともに、IMSの制御パラメータの最適化も併せて行う。 (2) [クラスターイオン照射系の構築と最適化]:分析機器の小型化等を目指して設計したクラスターイオン小型照射系の整備を進める。まずは、2023年度に設計・整備した加速電極を用いてイオンを加速するためには、各電極に印可する高電圧を高速で切り替える必要があるため、そのための高速高電圧スイッチング電源の開発と整備を行う。また、加速するイオンを加速電極に供給するためのクラスター1次イオン源の開発も行う。 (3) [(1)と(2)を統合した高感度・高精度IMSシステムの基盤構築]:(2)で開発する照射系を用いて、イオンを試料に照射することにより生成した2次イオンを、(1)で開発するIMSで分析するために、両者を結合させるための照射チェンバーを整備する。最終的には、(1)と(2)の最適制御により、精度と再現性の高い分析を行うために、両制御機構の統合を行う。
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