2023 Fiscal Year Annual Research Report
狭小戸建・共同を含む都市部住宅での蓄熱・蓄電を活用した太陽エネルギーの総合的利用
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23H01564
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前 真之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90391599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 幸造 東京理科大学, 創域理工学部建築学科, 准教授 (20739148)
井上 隆 東京理科大学, 創域理工学部建築学科, 教授 (30151608)
吉澤 望 東京理科大学, 創域理工学部建築学科, 教授 (40349832)
谷口 景一朗 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (80746496)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 省エネルギー / 共同住宅 / 太陽光発電 / 自然光利用 / エアコン / 自動制御 / 暖冷房 / 都市部 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人口が集中する一方で省エネ処置が困難であった都市部の狭小敷地における戸建・共同住宅において、太陽光・太陽熱・自然光利用のポテンシャルを明らかにするとともに、プライバシーを確保しつつ自然光利用・日射熱制御を可能とする開口部を検討し、断熱強化およびエアコンの効率的な利用による暖冷房の消費エネルギー削減と太陽光発電を組み合わせ、効果的な省エネ手法を検討する。 前は、都市部の狭小敷地における太陽光・太陽熱の利用可能性を検討するため、3D都市モデルを用い建物表面への日射分布計算を計算。エアコンの効率を実験により把握し機械学習により再現するとともに、木造アパートの標準プランを作成した。 高瀬・井上・前は、日射取得時の開口部周りの日射取得および温度分布を数値流体計算CFDを用いて詳細に再現する手法を構築。さらに木造アパートおよびRCマンションの標準モデルにより、2022年に新設された断熱等級6・7を含む室温・熱負荷を再現し、効果的な暖冷房の省エネ手法を検討した。 吉澤は、住宅における眺望性評価手法の確立に向けて被験者実験を実施し、スクリーンのある窓の眺望の明快さ評価を行うための基礎データを取得した。またエッジ解析手法を用いた明快さ評価を実施するため、眼の解像度に対応する高解像度カメラを用いた輝度測定システムの構築を進めた。 谷口は、都市部住宅地3Dモデルを用いた日射解析により、狭小戸建住宅での屋根・壁面の日射特性を明らかにした。また、作成した狭小戸建住宅の標準プランを元に、屋根載せPV・床暖房設備・潜熱蓄熱建材(PCM)の併用による蓄熱効果・消費電力削減効果の評価をエネルギーシミュレーションにより実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前は、国交省の3D都市モデルPLATEAUの東京都データを用い、Rhino/GH環境にて建物表面への日射分布計算を試行。エアコンの効率計測実験を実施して効率を把握、機械学習による最適制御を検討するとともに、木造アパートの標準プランを作成した。 高瀬・井上・前は、日射取得時の開口部周りの日射取得および温度分布を数値流体計算CFDを用いて詳細に再現する手法を構築し、温熱快適性を確保した日射制御の検討を可能とした。室温・熱負荷計算プログラムEnergyPlusを用いて、木造アパートおよびRCマンションの標準モデルを用い、断熱等級4・5・6・7における熱収支および室温挙動を把握し、共同住宅における暖冷房負荷の効果的な低減方法を検討した。 吉澤は、神経生理学的メカニズムを反映させたエッジ検出プログラムをベースとする眺望の明快さ評価手法についてはほぼ完成しつつあり、被験者評価を高い精度で予測できるようになっている。ただし照明条件等が変わった場合は予測値の絶対値が合わない場合があるため、今後は順応状態を考慮に入れたアルゴリズムに修正する必要がある。 谷口は、都市部の密集住宅地における屋根面日射を利用した屋根載せPVの活用可能性を明らかにした。一方で、日射熱取得が限定的な壁面開口部においてプライバシー性と両立させた昼光利用に有利な開口部の設置方法の検討等、狭小戸建住宅の開口部のポテンシャル評価が今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
前は、国交省の3D都市モデルPLATEAUの東京都データに基づくRhino/GH環境での建物表面への日射分布計算を改善し、都市部の狭小住宅地における太陽光・太陽熱利用のポテンシャルを明らかにし、エアコンの効率再現モデルを構築する。 高瀬・井上・前は、構築した開口部周りの日射取得および温度分布を数値流体計算CFDを用い、温熱快適性を確保した日射制御を可能する制御部材の選定・制御手法を構築。室温・熱負荷計算プログラムEnergyPlusとエアコン効率モデルを組み合わせ、木造アパートおよびRCマンションにおける効果的な暖冷房負荷低減およびエアコンの最適制御手法を構築する。 吉澤は、明快さ評価のためのエッジ検出プログラムについて、Normalizationの考え方を応用することにより様々な環境で適用可能なプログラムに修正するとともに、狭小住宅・集合住宅等において眺望と採光の関係性を考慮しつつ総合的な視環境満足度を高めるような窓・開口部のあり方について、HMDなどを用いた被験者実験を進める。 谷口は、狭小戸建住宅における開口部の光・視環境や眺望性・プライバシー性も考慮した総合評価方法の整備のため、特に眺望性・プライバシー性評価に着目して被験者実験による開口部評価実験を実施する。その際、天窓やハイサイド窓のように既往研究では評価対象外とされてきた開口部についても評価を検討する。加えて、被験者実験で得られた知見をもとに狭小戸建住宅の開口部設計指針の整備を進める。
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Research Products
(5 results)