2023 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半期ドイツにおける住宅政策と建築形態をめぐる社会的葛藤についての研究
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23H01593
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中江 研 神戸大学, 工学研究科, 教授 (40324933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角 哲 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (90455105)
山本 一貴 福山大学, 工学部, 講師 (90533977)
堀内 啓佑 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特別研究員 (20912695)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 近代建築 / 労働者住宅 / 産業都市 / 住宅改良 / 住宅政策 / ジードルンク / 社会住宅 / 郷土保護運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、ドイツの労働者住宅の調査として、10月に渡独し、ベルリン市フリードリヒスハイン=クロイツベルク区において、20世紀初頭のミーツカゼルネ(賃貸兵舎)と呼ばれた過密で、採光・通風の点で好ましくない形式の集合住宅の実見調査を行った。また、ベルリン州立図書館で労働者住宅、社会住宅に関する文献資料収集を行った。 ドイツの郷土保護運動に関しては、伝統的な農村景観の保全を目的とした動向として、20世紀初頭の伝統的な屋根葺き建材についての耐火実験、特に藁に薬剤を含侵して造られた耐火藁葺き屋根の開発に着目して、資料収集・分析を進めた。耐火実験は、伝統的な建材の耐火性能を実証評価し、性能が証明された耐火藁葺き屋根は火災保険料を下げることができ、それによって藁葺き屋根による伝統的な景観が守られるということが企図されていたこと、これらの動向にはドイツ郷土保護連盟が関与していることが把握された。また、これに関連して、当時開催された農家住宅のための設計コンクールの資料収集も進めた。さらに、1910年代から20年代の新建材の使用による市街地景観の破壊をめぐる論争についても、資料収集・分析を進めている。 ドイツで発展した建築形態の日本への影響に関しては、労働者階級向け集合住宅の伝播状況の検討として、山田守著『ジードルンク』(1933)の参考文献の把握がほぼ完了し、掲載内容の詳細な分析を進めている。また、20世紀初めにドイツ語圏の建築・インテリア雑誌を複写・転載した日本の建築写真メディアについて資料収集・分析を進めた。ドイツ語圏から伝播した住宅や建築の形態について、その原典となった図書、雑誌の同定を行った。分析結果をまとめ、その一部を学術論文として成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた資料収集は,国内での資料収集・実見調査については、おおよそ順調に進んでいるが、ドイツでの調査は為替相場の影響で渡独できる期間が限定的となり、資料収集に関して少し遅れがみられる。一方で、ドイツ郷土保護運動に関する資料収集と分析で進展がみられる。総合的に評価して,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度前半は主に収集済み資料の分析・考察を行う。ドイツの郷土保護運動に関しては、20世紀初頭の耐火藁葺き屋根の実験的取り組み、新建材の使用をめぐる論争について分析を進める。ドイツで発展したジードルンクの日本への影響に関しては、1920年代から30年代に日本へジードルンクの実態を伝えた文献の原典の把握と日本の労働者住宅の建設状況への影響の分析・考察が進んできており、特に、山田守著『ジードルンク』(1933)の参考文献の把握および掲載内容の考察について、成果発表を行う予定である。 年度後半には,1920年代の社会住宅建設に関して、ベルリン州立図書館(ベルリン)、連邦公文書館ベルリン館(ベルリン)での調査・資料収集,その他海外事例の現地調査,資料収集を進める予定である。
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Research Products
(3 results)