2023 Fiscal Year Annual Research Report
Vernacular Stone Masonry Houses of Bhutan: A study on the Architectural Characteristics and the Suitable Approach for Protection as Cultural Heritage
Project/Area Number |
23H01596
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
友田 正彦 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 副所長 (70392553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 聡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00568157)
マルティネス アレハンドロ 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 助教 (50807815) [Withdrawn]
津村 泰範 長岡造形大学, 造形学部, 准教授 (60789105) [Withdrawn]
金井 健 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 室長 (90359448)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ブータン / 民家 / 石造 / 文化遺産 / 保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年次である本年度は、ブータン東部地域所在の石造古民家の基礎的把握を目的として、カウンターパートであるブータン政府内務省文化・国語振興局と共同で二次にわたる現地調査を実施し、併せて適切な調査手法等の検討を行った。 <第1次調査 2023年4月26日~5月5日> タシガン、タシヤンツェ、モンガル、ルンツェの4県を主な対象に、計14棟の古民家について実測や聞き取り等の調査を行った。以前に調査した西部地域の版築造民家と共通する平面や木部外観を有する石造民家が広範囲に分布することが分かった一方、タシガン県やタシヤンツェ県の少数民族が暮らす辺境集落には非常に地域性の強い石造民家の存在が確認された。民家形式の発展や地域性には生活様式の変化や違いが反映していることから、こうした観点からの情報収集や調査研究に一層努めていく必要性が改めて認識された。 <第2次調査 2023年10月29日~11月4日> 中部寄りのブムタン、ウォンデュフォダン両県で 再調査も含めて計11棟の実測や聞き取り調査を実施した。石造民家と版築造民家が混在する集落も含めて調査した結果、これらの地域では、かつては版築造が支配的であったにもかかわらず、時代が下るにしたがって石造が一般化していき、やがて版築造による民家建設の伝統が途絶するという変化が生じていることが判明した。ただし、両者の構法が混在する建物における増改築過程を考察すると、単純に一方向の変化だけとも言い切れない様相が見て取れることから、さらに詳細な分析を行っていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従って、二次にわたる調査をブータン側カウンターパート機関と共同で実施することができ、これを通じて東部地域における石造民家の大まかな様相を把握することができた。また、遠隔地での調査が中心となるため、現地訪問に適する季節や移動に要する時間など様々な制約があるが、そうした点についても状況把握ができたことから、今後の調査をより円滑に実施できる条件が整ったということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
東部地域において建設年代が古いと思われる物件や、規模や形式においてきわだった特徴を持つ石造民家物件のさらなる発見に努めるとともに、その詳細な記録と情報収集を継続していく予定である。特に東端のタシガンとタシヤンツェの両県で昨年度調査により確認した地域性の強い石造民家については、同じ集落内で所在を把握している類例建物の悉皆的調査に加えて、同一の文化圏に属する近接地域等における民家形式の様相を把握に努める。 また昨年は、以前の共同調査により発見した版築造民家のうち最古例に属すると評価される物件が民家としては同国初の国指定文化遺産となったことから、その保存修理と活用検討についても支援を要請されるなど、カウンターパートとの研究協力の成果が表れると同時に、新たな発展的課題への取り組みも必要な状況となっている。
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