2023 Fiscal Year Annual Research Report
Demonstration of Pressure Gain by Detonation Active Control Injector
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23H01603
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 健 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40710067)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | デトネーション / 回転デトネーションエンジン / 圧力ゲイン燃焼 / インジェクタ |
Outline of Annual Research Achievements |
最も激しい燃焼波であるデトネーション波を用いたデトネーションエンジンは、高速燃焼によるシステムの小型高出力化と既存燃焼サイクルで最高の理論熱効率を実現する。本研究グループは、2013年にデトネーションロケットエンジンの飛行試験を成功させ(Matsuoka et al., Journal of Propulsion and Power, 2016)、2021年7月にはJAXA宇宙科学研究所の観測ロケットS-520-31号機を用いて、世界初の宇宙環境下でのデトネーションエンジン作動を成功させた(Goto et al., Journal of Journal of Spacecraft and Rockets, 2021)。しかしながら、非定常燃焼器特有の煩雑さによりデトネーションエンジンの潜在的優位性は実験的に確認されていない。本研究の目的は、燃焼器出口での燃焼ガス全圧が推進剤供給全圧を上回る、圧力ゲイン燃焼を達成することである。 当該年度は、インジェクタ直下流の流路形状を変更し全圧損失を低減させた場合の回転デトネーションエンジン作動および圧力ゲイン性能を実験的に評価した。インジェクタ下流の流路拡大角を6、30、90 degreeと増加させた。90 degreeでは、インジェクタ下流が急激に拡大するため全圧損失が大きい条件である。実験の結果、流路拡大角が減少するとデトネーション波が不安定になる結果を得た。また、拡大角が小さい条件で圧力ゲイン性能も低下する傾向を得た。この結果から、高い圧力ゲインを得るためには、デトネーション波を安定伝播させるためのインジェクタ圧損が重要であることが示唆された(Nakajima et al., Shock Waves, Accepted)。このため、本研究が提案する能動インジェクタによる圧力ゲインが、有効な手段であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究によって、インジェクタでの圧力損失低減は、デトネーション波伝播を不安定化させることが分かった。そのため、既存インジェクタでは圧力ゲイン燃焼を達成することが困難であり、本研究が提案する能動インジェクタの必要性が示された。また、本研究成果は、2本の査読付き論文として発表予定である。その観点で、おおむね順調にしていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2つの研究推進方策を計画している。一つ目は、当初の計画通り、能動インジェクタでの圧力ゲイン燃焼を実験的に実証する。そのために、まず、ピエゾ素子を用いたインジェクタを新たに開発し、デトネーション波が安定して伝播を継続できることを単一の衝撃波管を用いた基礎実験にて確認する。 二つ目は、既存インジェクタ方式(細孔からの噴射方式)を拡張させて圧力ゲイン燃焼を達成することである。推進剤インジェクション方向をデトネーション波伝播方向と対向させる方向とすることで、デトネーション波伝播速度および推進性能が向上することが数値計算的に報告されている。この現象の構造を明らかにし、より高性能なインジェクタ仕様を探求する。
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