2023 Fiscal Year Annual Research Report
A new method for estimating crack growth history using cyclic plasticity near the fatigue crack tip as a parameter
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23H01625
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 浩二 九州大学, 工学研究院, 教授 (60274487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穴井 陽祐 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 海上技術安全研究所, 主任研究員 (60470051)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 疲労 / 疲労亀裂伝播則 / 両振り塑性仕事 / 構造・材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は繰返し負荷を受ける疲労亀裂先端近傍に形成される両振り塑性変形挙動を評価することで,従来の応力拡大係数範囲(ΔK値)を指標とする破壊力学的手法に代わる新しい疲労亀裂伝播則を構築することを目的としており,研究初年度は亀裂先端近傍の塑性域寸法を,基本となる単調引張および繰返し負荷の両条件についてDIC法による寸法測定を試みた. 当初は,DIC法による測定結果より亀裂先端近傍の任意位置で生じている塑性ヒステリシス(繰返し負荷1サイクルにおいて塑性ひずみと負荷荷重の関係が示す閉ループ)を測定し,このループが生じない位置を繰返し塑性域先端とする方法を対象に精度測定の向上を目指した.この方法はひずみゲージ法ではある程度の有用性を確認出来ていたものの,DIC法では試験片の面外変形に伴う測定ノイズが避けられないなどの問題が確認されたため,測定のための試験片表面の処理方法について複数の方法の適用や,複数のカメラを用いた三次元的測定の適用などの対策を講じたが,ヒステリシスループの測定精度改善には至らなかった.そこで,別の判定手法として,最小荷重段階にDIC法で得られるひずみ場測定結果より両振り塑性域寸法を確定する方法により,単調負荷時には比較的良い精度で塑性域寸法を測定できることを,弾塑性FE解析及び亀裂結合力モデルに基づく数値解析との比較により確認した.一方,繰返し負荷時には,亀裂先端の位置特定制度に問題があるため,両振り塑性域寸法測定の定量性確保に課題が残ることを確認した. 数値解析による疲労亀裂伝播シミュレーションの方法については,従来の弾完全塑性体に対する亀裂結合力モデルに基づく手法に,繰返し負荷を受ける材料の応力~ひずみ関係を入力する手法について検討し,塑性拘束係数を亀裂成長に応じて更新する必要性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DIC法により亀裂先端近傍に形成される塑性域寸法を精度よく推定することが本研究では極めて重要であるが,研究初年度に実施した諸検討によりこのために必要な実験環境について確立できたため,2年目には実際の構造物が高サイクル疲労を受ける繰返し負荷周波数レベルで両振り塑性域寸法を測定できると期待される. 数値シミュレーションについては,単調負荷での塑性変形領域と両振り塑性変形領域で応力~ひずみ関係を使い分けるなどの改善素案が準備出来ている.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の成果を考慮すれば,研究申請時の方針に沿って研究を進めることが妥当であると判断している. 一方,繰返し負荷時の両振り塑性域測定において精度が劣る結果となった場合は,高サイクル疲労現象に及ぼす周波数影響に関する先行研究も参考に,測定精度が確保できる負荷周波数に減じて実験をする対策を検討する.
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