2023 Fiscal Year Annual Research Report
水理モデルと河道地形の3D復元技術を活用した小河川の洪水氾濫過程の解明と減災
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23H01659
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
佐藤 裕和 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (90609364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城 惣吉 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (20721898)
神野 有生 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30583760)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 氾濫域の地形変化 / 水理模型実験 / 画像解析 / ドローン / 水中測量 / RTK-GNSS測位 / ダイズ / 根粒菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の主な研究実績は、①水理模型実験による氾濫域地形の時間変化の推定手法の開発、②簡易なドローン撮影による実河川冠水部の地形推定技術の開発、③洪水氾濫後の圃場を想定した栽培ポット試験によるダイズの生育調査に大別される。 ①については、氾濫域模型にクリアウォーターを氾濫させ、地形変化の計測点に水面上からグリーンレーザポインタを照射し、その照射点を複数のデジタルカメラからインターバル撮影した後、画像解析により計測点の地形標高の時間変化が推定できる可能性を見出した。解析に必要なカメラパラメータはSfM解析により、また計測点の水深は同時に計測する水位から推定できる。氾濫水位の時間変化を生じても氾濫域の底面標高に変化の生じない固定床で良好な結果が得られており、氾濫域で地形変化の生じる場合にも適用可能であると判断された。 ②については、ドローンによる撮影と同期した精密な実河川での水中測量(デジタルレベルと短基線RTK-GNSSを併用)を行い、水中各点の座標推定を、視線の天底角(鉛直下向きからの傾き)が小さい写真のみを用いて行うことで、水深過小評価倍率を地点によらず安定して求めることができ、それを見かけの水深に乗じることで、高精度で水深が推定できることが示された。また、ドローンの撮影位置のRTK-GNSS測位において、一見正常な測位状態であるにも関わらず、精度が突如低下する現象を発見した。 ③については、ダイズ栽培の事例では、泥水の注水の有無により処理区の主茎長や地上部乾物、根粒着生数に違いのあることを確認した。泥水の注水のある方が、これらの値が増加する傾向を示した。この要因には、灰色低地土や赤色土が混入することで根粒菌の数が増えたことが考えられた。つまり、ダイズ作付け前の圃場に洪水氾濫による泥水などの流入ある場合、根粒着生数の増加による生産性の向上といった正の影響を及ぼす可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水理模型実験、実河川の冠水部の推定に関する現地実験、洪水氾濫を想定した圃場の栽培ポット試験といった本研究の推進の核となる実験・試験を、当初計画よりも速やかに実施でき、初年度中に多くの重要なデータを取得したため。また、これにより2年目以降はこれらのデータ解析に注力できると同時に、他の実験・試験への移行や数値解析の本格着手も早められることが期待されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
氾濫域の地形変化推定に関する提案手法は、データの解析方法をより精緻化できる可能性があるためこれに取り組むとともに、2次元の移動床の数値解析モデルの構築も行なう。解析データはこの数値解析モデルの検証用データに活用される。また、本課題のテーマである水理モデルの活用による河道地形の3次元復元技術の精度検証のため、当該年度に収集した現地河川の水中測量のデータの綿密な解析を進める。さらに、洪水氾濫を受けた実際の農地での作物栽培を模すため、実際の農場を用いた実験準備にも着手する。
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