2023 Fiscal Year Annual Research Report
生体模倣技術を応用したイットリア部分安定化ジルコニアの構造改質による生体機能化
Project/Area Number |
23H01694
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金高 弘恭 東北大学, 歯学研究科, 教授 (50292222)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北岡 諭 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 理事 副所長 (80416198)
目代 貴之 東北大学, 金属材料研究所, 特任助教 (30466544)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 生体材料 / 生体模倣技術 / ジルコニア / 生体親和性 / 抗菌作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電子ビームPVD法およびレーザーCVD法を併用し、原子・ナノレベルで高次構造制御したセグメントからなるYSZをTi基板上に形成することで、生物模倣技術により高い抗菌性と生体親和性(細胞誘導・配向)を同時に発現する構造改質技術を構築することを目的とし、当該年度に下記の研究を実施した。 ①YSZセグメント構造体の創製:JFCC 成膜室チャンバー内に雰囲気ガスを導入し、チャンバー内の全圧を約1 Paの減圧環境にする。次に、ターゲット(YSZ)をシングルの電子ビーム照射により溶融させるとともに、所定位置に配置したTi基板上に蒸着した。その際、コーティング条件(ガス種、電子銃出力 [蒸着速度]、基板の回転数、加熱用半導体レーザー出力)を調整することで、形成されるセグメント構造(表面電位、表面形状、結晶配向、気孔分布、幅・厚さ、間隙、N含有欠陥構造等)を制御した。 ②生体親和性および抗菌性評価(予備実験):東北大学 創製されたYSZセグメントに対する生体親和性および抗菌性評価に関し、予備実験を行った。予備実験の結果を、播種する細胞数や菌液濃度などの条件決定にフィードバックする。具体的には、抗菌性の評価として、複数のセグメント構造体に対し、大腸菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ菌、歯周病菌、う蝕菌等に対する抗菌性を評価・解析し、抗菌性を有する構造体を抽出した。抗菌実験はJISZ2801に準じ、フィルム密着法により24時間培養にて実施した。生体親和性(細胞誘導)の評価として、上記実験より抽出された抗菌性を有するセグメント構造体に対して、生体に接触する部位に対応した細胞を選択し、生体親和性を評価・解析した。歯肉接触の部位はヒト歯肉繊維芽細胞、骨接触の部位は骨芽細胞様細胞を使用した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の研究実施計画通りに、研究が進捗しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、現在までおおむね順調に研究が進展していることから、2024年度以降は当初研究計画の通り、下記項目について実施予定である。 ①YSZセグメント構造体の創製(JFCC):成膜室チャンバー内に雰囲気ガスを導入し、チャンバー内の全圧を約1 Paの減圧環境にする。次に、ターゲット(YSZ)をシングルの電子ビーム照射により溶融させるとともに、所定位置に配置したTi基板上に蒸着する。その際、コーティング条件を調整することで、形成されるセグメント構造(表面電位、表面形状、結晶配向、気孔分布、幅・厚さ、間隙、N含有欠陥構造等)を制御する。 ②抗菌性の評価(東北大学):複数のセグメント構造体に対し、大腸菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ菌、歯周病菌、う蝕菌等に対する抗菌性を評価・解析し、抗菌性を有する構造体を抽出する。抗菌実験はJISZ2801に準じ、フィルム密着法により24時間培養にて実施する。なお、セグメント構造だけでは十分な抗菌性が得られなった場合、レーザーCVD法を併用することにより、AgもしくはZnナノ粒子をYSZセグメント内に分散することも検討する。 ③生体親和性(細胞誘導)の評価(東北大学):上記実験より抽出された抗菌性を有するセグメント構造体に対して、生体に接触する部位に対応した細胞を選択し、生体親和性を評価・解析する。歯肉接触の部位はヒト歯肉繊維芽細胞(HGFs)、骨接触の部位は骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1細胞)を使用する。 ④モデル動物を用いた骨結合能評価(東北大学):上述の各種実験により、抗菌性と生体親和性をともに有するセグメント構造体を抽出、セグメント構造を最適化したサンプルを作製し、モデル動物を用いた骨結合能評価を行う。(ラット脛骨にミニインプラントを埋入)
|