2023 Fiscal Year Annual Research Report
形状可変性アクティブ流体工学の学理構築と環境適応型ソフトロボティクスへの実践
Project/Area Number |
23H01700
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
遠藤 洋史 富山県立大学, 工学部, 准教授 (90455270)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ソフトロボット / Auxetic構造 / 切り紙構造 / 折り紙変形 / 液体金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では3Dプリンティング技術を用いて、空圧駆動アクチュエータと幾何学メタマテリアル流路を一体化した、多彩なフレキシブル造形体を構築する。歩行・遊泳・物体把持などの多彩な動的性能を実装した一大ソフトロボティクス群を開発することを目的としている。 初年度においては、本案の基盤となる熱溶解積層方式および光造形方式による3Dプリンティング技術を用いて、Auxetic流路形成に向け貼り合わせ法、モールド溶解法、直接造形法を検討した。また、液体金属(LM)微粒子を含有したエラストマーフィルム(PDMS)への近赤外光照射により生じる光熱変換特性を利用した運動について、動力学解析から検証した。加えて、ベローズチューブを組み合わせた種々の空圧駆動体の設計について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モールド溶解法によるAuxetic流路シートの作製では、PDMSとABSモールドの溶解性の違いに着目し、母体構造内からの選択的な流路モールド溶解による中空構造形成法を確立した。流路サイズ・寸法はモールドのそれと精度良く一致し、迅速な液体金属注入も行うことができた。また代表的なAuxetic構造であるリエントラントハニカム構造と、比較として矩形構造、ハニカム構造の3パターンの引張試験を実施し力学特性を評価した。リエントラントハニカム構造は、他よりも構造特異的な伸長挙動を示すことを理論モデルと併せて明らかにした。 LM微粒子含有PDMSフィルムとポリイミドフィルムから構成した2層系フィルムを作製し、両者の熱膨張係数の違いに基づく屈曲動作を大気中にて観察した。微粒子化が促進されるにつれ、たわみ量も増大する傾向にあった。フィルム内の粒子比表面積が増大し、それに伴い発熱性や熱拡散も増大したことが要因と考えられる。 またベローズチューブを組み合わせた種々のシリンダー構造や、切り紙機構を取り入れたソフトグリッパーを構築し、試作した空圧圧制御システムにより高速運動を実現した。 以上より、当初の計画通りにおおむね研究が推進できているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ソフトロボティクスの運動性拡張のため、これまでの知見をベースに新規構造を模索し、設計していく。また精密なひずみ解析を実施して、力学特性を評価する。 例えば、歩行を確認したAuxetic外骨格様シリンダーについて、厚み・角度など各寸法を再度検討し、最適化を行う。そしてAuxetic構造の変形特性を定量的にまとめる。ソフトグリッパーにおいては、種々の切り紙の形状の動作を確認し、物体把動作に適する形状を検討する。また新規カイラル八面体骨格を基本とした幾何学構造体および、その集合体の詳細な動作検証を行い、有用性を見出していく。
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Research Products
(46 results)