2023 Fiscal Year Annual Research Report
競合的な非共有結合の制御による高強度ゲル電解質の創製とリチウム金属電池への応用
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23H01716
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
玉手 亮多 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 独立研究者 (70812759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 慶 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究センター, 主幹研究員 (30457824)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リチウム金属 / ゲル電解質 / 高強度 / 濃厚電解液 / リチウム二次電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は有機電解液組成と高分子構造の最適化により、Li塩濃厚電解液と新規水素結合性高分子から形成されるゲル電解質が、これまでに報告されたLi伝導性ゲル電解質の中で破格に高い力学強度を持つことを見出した。このゲルをLi金属負極の保護被膜に用いることで、Li金属電池のサイクル特性を大きく向上させることに成功した。本成果は新聞掲載されるなど社会的にも注目を集めた。また継続研究として、Li金属負極の溶解析出挙動に与えるゲル電解質被膜の支配因子を明確化するため、異なる力学挙動を持つゲル電解質を被膜としたLi金属負極の溶解析出挙動の違いについて検証を進めている。さらに、ゲル電解質被膜や電流密度などの電気化学条件の影響に関しても詳細を検証し、最適な被膜厚みが存在することを明らかにした。 また研究代表者が進めてきた100万を超える分子量を持つ超高分子量ポリマーの絡み合いを用いたゲル創製のコンセプトと水素結合性ゲル電解質のコンセプトの協奏により、低い高分子濃度でも非常に高い力学強度を示すゲル電解質が創製し、高いイオン伝導度と力学強度の両立が可能であることを明らかにした。次年度以降新規ゲル電解質材料のLi金属電池応用に関しても検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は本課題の端緒となった研究内容の成果発表を行い、またLi金属負極性能向上の詳細なメカニズム検討に関して実施した。また新たなコンセプトによりイオン伝導度と力学強度をより両立できる新規ゲル電解質を見出すことができた。以上よりおおむね順調に研究を推進できていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲル電解質被膜のどのような物理特性がLi金属負極の溶解析出挙動に影響を与えているかという支配因子の明確化を進める。この結果に基づいてよりLi金属電池性能を向上可能なゲル電解質設計に関して検討を進めていく。 またこれまでに見出した水素結合を用いた高強度ゲル電解質の設計が広く濃厚電解液系で適用可能であることを検証するとともに、配位結合や高分子の物理的絡み合いなど他の非共有結合を利用したゲル電解質設計に関しても検討を進める。
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Research Products
(6 results)