2023 Fiscal Year Annual Research Report
超高密度反応性プラズマ法による窒化ホウ素ナノ結晶集合体構造の信頼性物理の研究
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23H01728
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江利口 浩二 京都大学, 工学研究科, 教授 (70419448)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 窒化ホウ素 / プラズマ / 結合状態 / 電気特性 / 光学特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超高密度磁場印加型アーク放電により作製する窒化ホウ素膜ナノ結晶集合体の誘電分散解析、高信頼性BN膜設計指針の確立が主要テーマである。特に、インピーダンス分光法を中心とする物性(電気特性)解析を通して、BNナノ結晶集合体の過渡・経時応答メカニズムの解明、そしてBN膜の経時劣化モデル(BNナノ結晶集合体の信頼性物理学)の構築を目指す。2023年度は、新たに微小トンネル電流特性を取得できる半導体パラメータ・アナライザを導入し、経時的時間変化を解析できる計測アルゴリズムを作成した。その結果、BN膜中の金属不純物濃度に依存した経時的トンネル電流変動の違いを同定することができた。トンネル電流の時間依存性およびその電界強度依存性が従来のSiO2系絶縁膜と同様の振る舞いをすることも明らかになった。また、電気容量解析を進めた結果、誘電率は従来報告されている値と妥当であることも確認できた。一方で、金属不純物濃度は、光学特性、特に吸収係数に影響を及ぼすことがわかっている。この事実は、電気特性と光学特性との相関関係が介在していることを示唆している。2024年度はこの特徴にも注目して研究をすすめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に導入した半導体パラメータアナライザーを基盤とする電気特性解析システムを構築し、BN膜の経時的トンネル電流変動を取得できることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
超高密度反応性プラズマ(RePAC)システムにおいて、超高密度イオンフラックス条件に加え高磁場効果を鑑みたプラズマプロセスにより、様々な2D-3D混相系窒化ホウ素(BN)膜を段差を有する集積構造上に作製する。種々のプラズマパラメータとsp2-sp3結合比の複素インピーダンス(Z)マッピングを行う。2024年度は、デバイス構造試作を計画している。デバイス作製フローを確立し、種々のBN膜のトンネル電流解析に加え、インピーダンス計測を実施する。なお、高磁場印加のための磁極改造を継続検討する。一方で、2023年度に構築した半導体パラメータアナライザーを基盤とする電気特性解析システムを更新し、経時的トンネル電流解析システムとする。また、段差構造上に作製したBN膜からなる集積デバイスが評価できる環境を整備する。集積デバイス構造を利用した統計解析によりばらつきなどを含めて評価する。
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