2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドリド還元を水素還元剤で実現する固体金属触媒の開発
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23H01758
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中川 善直 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10436545)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 水素化 / 金属触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
不飽和アルデヒドとしてシンナミルアルデヒド、不飽和ケトンとしてベンザルアセトンを用い、末端位置選択的水素化分解触媒として開発されてきたイリジウム-鉄触媒を中心として触媒探索を実施した。比較的容易な基質であるシンナミルアルデヒドの選択水素化では水素化分解触媒で有効だったチタニア担体で良好な性能(97%選択率)が得られた。水素化分解触媒性能と選択水素化触媒性能の構造への依存性の違いを詳細に検討し、選択水素化の方がイリジウム担持量、鉄担持量ともに少ない方が有効な触媒であることが示された。これは、水素化分解ではイリジウム表面への鉄修飾を多く必要とすることと解釈できる。他の不飽和アルデヒドにも適用し、クロトンアルデヒドでも95%選択率、90%収率でクロチルアルコールを得た。速度論からも水素圧力に0.7次と、ヒドリド機構での値である1次に近い値が得られた。 より困難なベンザルアセトンの選択水素化では、既存のチタニア担体や窒化ホウ素担体の使用のみでは良好な選択性を得ることができなかったが、他の担体および特定の鉄前駆体を用いたときのみ高い選択性(約80%)を得ることができた。前駆体に由来する成分や、構造の効果が大きいことがうかがわれ、水素化を完全に抑制する表面構造の決定を2024年度以降進める必要がある。 加えて、本研究で用いているイリジウム-鉄触媒について、水素化分解の研究において活性を飛躍的に向上させる手法として窒化ホウ素担体とモリブデンの少量添加を組み合わせることが発見され、論文を発表した。そのままでは水素化における高選択性は得られないが、選択性を得た先の活性向上として重要な知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不飽和アルデヒドの水素化は期待通りに進行した。不飽和ケトンについて、高選択率の触媒を見いだしたが、得られる触媒の幅が不飽和アルデヒドに比べて小さくなったことから、追加の構造の検討が必要となる。しかしその知見はこの先の不飽和カルボン酸等のつながると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に沿って進行ができている。参画する大学院生もそのまま2024年度在籍し、追加で大学院生の参画も検討する。
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