2023 Fiscal Year Annual Research Report
Electric control of exchange coupling at interface of ferromagnetic oxide/metal
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23H01842
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳原 英人 筑波大学, 数理物質系, 教授 (50302386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
介川 裕章 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究センター, グループリーダー (30462518)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 磁気層間結合 / 電気伝導性酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
電圧印加による磁気層間結合の制御可能性について、実験的な検討を行った。磁気相関結合の電圧制御についてはこれまでいくつかの報告例があるものの多くの場合、界面付近での酸化還元反応に伴う界面状態の変化がその起源であった。本研究では、(電気化学的な変化を伴わない)純粋に電子状態のみの変化に伴う交換結合の制御を目指している。ここでは反強磁性的磁気層間結合を示すFe/Co0.75Fe2.25O4に着目し、この系にバイアス電圧を印加するための下部電極層の探索、積層構造の成膜条件の最適化をおこなった。特に重要となるのが、Fe/Co0.75Fe2.25O4に電圧を印加するために必要となる適切な下部電極材料である。昨年度までに得られた知見として、下部電極層として導電性酸化物であるCoV2O4を候補材料として、その作製条件について詳細に検討した。反応性スパッタによりCoV2O4をエピタキシャルに成膜できること、酸素導入量によってCoV2O4の伝導率が大きく変化し、導電性酸化物薄膜となる領域があることを確認した。さらに、この材料を下部電極としてFe/Co0.75Fe2.25O4/CoV2O4(001)の積層構造を作製し、FeとCoV2O4間に電圧印加を行なったところ、CoV2O4の電気抵抗が高いため、電圧印加時に電圧降下の大半が下部電極であるCoV2O4内で生じることから、効率よくFe/Co0.75Fe2.25O4界面に電圧印加させる手法を開発する必要があることも明らかになった。また、導電性電極を探索する過程でNiCo2O4の磁気伝導物性を調べたところ、低温でトロイダル四極子モーメントをもつ新奇な磁性体であることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
候補となる下部電極層を作製し更にその上に磁性多層膜を成長させることに成功した。電圧印加可能な素子を作製する手段についてもある程度確立された。一方で下部電極として用いたCoV2O4では、十分な電圧印加ができないことも明らかとなり、これに代わる材料として、導電性のCo0.125Fe2.875O4についても実際に作製して下部電極としての可能性を調べた。残念ながら、下部電極に続いて絶縁性のCo0.75Fe2.25O4を積層することで下部電極の酸化が進み導電性が失われることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
下部電極としてこれまでに検討したCo0.125Fe2.875O4やCoV2O4に代わる酸化物薄膜を探索する必要がある。下部電極に求められる条件は、1)導電性材料で、2)酸化に強いか酸化が進んでも導電性を失わない材料。さらに3)格子定数がCo0.75Fe2.25O4よりも大きいものを探索する。いくつか候補材料があるので、遅れを取り戻すためにも急いで試してみる予定である。
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Research Products
(5 results)