2023 Fiscal Year Annual Research Report
Atomic-scale surface and interface structural analysis of crystal growth process in molten metal
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23H01850
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一井 崇 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30447908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 徹 京都大学, 工学研究科, 助教 (70734979)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 溶融金属 / 固液界面 / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
溶けた金属と固体金属とが接する面 (界面) では、双方の金属元素を含む合金結晶が形成される。このような界面はハンダ付けやめっきなど、実用上重要であるが、その界面現象を直接見ることはきわめて難しい。金属は不透明であり、光学顕微鏡でその中を見ることはできない。X線や電子線も制限がある。本研究では、独自開発した原子間力顕微鏡 (AFM) 技術をもとに、その結晶成長過程をその場 (in situ) で原子スケールで可視化することで、その界面で何が起きているのかを直接明らかにすることを目的としている。 本研究では周波数変調方式のAFMを用いることで、溶融金属/固体金属の界面の可視化を実現している。その際、フォースセンサの共振周波数シフトを検出することで探針ー試料間距離制御を行うが、同時に検出される探針振動エネルギーの散逸量について、界面での結晶成長との関連性が強く示唆される情報が含まれることが新たに明らかとなった。また、初年度は室温で溶融状態にある過冷却Gaを対象に研究を進めたが、より幅広い溶融金属での研究が遂行できることが望ましい。多くのAFMで用いられる試料走査型方式では、試料を加熱する際にスキャナが加熱されるという問題が生じる。この問題を解決するために、新たに探針走査型のAFMの開発を進めている。プロトタイプとなるAFMは設計・試作が完了し、その際に生じた問題点の洗い出しもおおよそ初年度に完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AFM分析可能な溶融金属の種類を広げるための探針走査型AFMの開発については、初年度に80 %程度進展しており、2024年度前半での完成が十分に見込まれる。また、結晶成長に関する研究についても、AFM独自の新たな現象を発見することに成功しており、研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在開発中の探針走査型AFMの開発を進め、現有の試料走査型AFMと室温において同等の性能を達成する。加えて、変位検出回路系の改良を進め、より高感度検出が可能な探針走査型-温度可変AFMを完成させる。 溶融金属/固体金属界面現象については、前述の通り探針振動エネルギーの散逸量と結晶成長との間に密接な関係があることが明らかになりつつある。これが室温でのGa中特有の現象なのか、より普遍的な現象なのかを明らかにする。
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