2023 Fiscal Year Annual Research Report
高速オペランド電子線ホログラフィーの開発と電荷挙動解析への応用
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23H01858
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
穴田 智史 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (40772380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 優貴 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (60970126)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 透過電子顕微鏡 / 電子線ホログラフィー / 機械学習 / ノイズ低減 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,透過電子顕微鏡(TEM)の時間分解能を向上させるため,既存TEMへの静電偏向サブフレーミング装置の導入および機械学習に基づく画像処理の検討を実施した.静電偏向サブフレーミング装置は,静電偏向器を既存TEMの投影レンズと電子検出器(TEM用カメラ)の間に配置し,外部の偏向制御回路から偏向器に電圧を印加することで動作する.この装置では,電子線入射方向に垂直な二方向(x, y方向)に任意に電子線を偏向できる.カメラにより1フレームを撮影する間に,カメラセンサーへの電子照射領域を二次元的に高速移動させることで複数枚のサブフレーム時系列画像を記録することが可能である.この装置の導入により,カメラの性能を超越した撮影速度を実現することができた.また,高速撮影した時系列TEM像に含まれるノイズを機械学習に基づく画像処理により低減する方法を検討した.その中で,スパースコーディングが優れたノイズ低減性能を示すことが明らかとなった.以上のサブフレーミング技術とノイズ低減技術を組み合わせることで,TEMの時間分解能を向上することができた.この成果は,「TEMの時間分解能≒カメラの撮影速度」という従来の常識を覆るものであり,カメラの撮影速度が頭打ちとなっている現状を打破するという重要な成果であると言える.また,既存TEMの機能・性能を活かしたまま時間分解能を向上できる利点もあり,TEM解析が重用されている様々な分野への波及効果が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存TEMへの静電偏向サブフレーミング装置と機械学習に基づく画像処理について,両者の導入と試験評価を順調に進めており,透過電子顕微鏡(TEM)の時間分解能を向上することに成功しているため,自己評価を「(2)おおむね順調に進展している」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
静電偏向サブフレーミング装置と機械学習に基づく画像処理の試験評価を進め,静電偏向に伴う像歪みや画像処理に伴うアーティファクト等の問題を解決していく.また,構築した高速TEM解析システムを実材料に応用する.
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