2023 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanistic study on unique corrosion phenomena in specific environments and challenges to extend the service life of accelerators and irradiation facilities
Project/Area Number |
23H01892
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 博志 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30540695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 孝道 東北大学, 工学研究科, 技術専門職員 (20422090)
長澤 尚胤 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先進ビーム利用施設部, 課長 (00370437)
清藤 一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先進ビーム利用施設部, 主幹技術員 (50446457)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ガンマ線照射 / 気相ラジオリシス / 腐食 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 加速器・照射施設内における鉄鋼製機器の腐食挙動の詳細調査 量研・高崎研で保有する加速器・照射施設内機器を対象として、腐食形態観察を実施した。具体的には、ガンマ線照射棟において顕著な腐食が認められた排気ダクト(炭素鋼、ステンレス鋼)およびステップ台(炭素鋼)と、加速器施設において腐食加速による破断が報告された温度ヒューズ(黄銅)の腐食形態を観察した。特に、炭素鋼で認められた腐食形態は粒界腐食であり、気相ラジオリシス(硝酸成分)と濡れ乾き(濃縮)が重畳することで腐食加速がもたらされたと判断した。 ② 加速器・照射施設内機器における環境側腐食影響パラメータ整理表の作成 加速器・照射施設内における環境側腐食影響パラメータ(温度、湿度、ガンマ線線量率)の平均値ならびに変動幅を、機器毎にまとめて調査・整理した。現時点では、検出された硝酸イオン濃度と腐食加速の程度が定性的に一致する傾向が認められており、上記メカニズムを指示する結果が得られている。 ③ 計算科学を活用した硝酸濃縮による腐食環境変化の推定と検証 温度・湿度の変動が鋼材表面の水膜における硝酸濃縮挙動(酸化剤濃度(電位)・pH情報含む)に与える影響を検討することを目的として、計算科学ソフトウェア(COMSOL Multiphysics)を新規に導入し、その適用性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「①加速器・照射施設内における鉄鋼製機器の腐食挙動の詳細調査」に関しては、今年度の結果から気相ラジオリシス(硝酸成分)と濡れ乾き(濃縮)に着目すべきとの方針に達したことから、次年度以降の研究の狙いを適切に設定できている。 「②加速器・照射施設内機器における環境側腐食影響パラメータ整理表の作成」に関しては、計画通りデータが蓄積されてきている。 「③計算科学を活用した硝酸濃縮による腐食環境変化の推定と検証」に関しては、新規に導入した計算科学ソフトウェアが今後の腐食の長期予測あるいは実験結果との比較・解釈に有効であると判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から継続して『1.“照射誘起硝酸塩SCC”発現における支配パラメータの抽出と検証』を実施すると共に、『2.材料-環境因子を軸とした炭素鋼におけるSCC感受性マップの構築』ならびに『3.加速器・照射施設の長寿命化に向けた材料選定・環境条件の最適化指針の提案』に取り組む。 方策としては、実機ガンマ線照射環境での腐食試験と、これを非照射下で模擬しつつ他の環境パラメータを機動的に操作した腐食試験を並行して実施することで、"照射誘起硝酸塩SCC"の提案に繋げる。
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